寶福寺中井戸 ― 食堂の濡縁に接し、梁に釣瓶を下げる井戸
寶福寺中井戸(ほうふくじなかいど)は、岡山県総社市井尻野の臨済宗寺院・寶福寺で食堂の北側の濡縁に接して設けられた江戸時代後期の上屋付きの井戸で、2009年(平成21年)1月8日に国の登録有形文化財に登録された。
井戸は厚さ17センチメートルの花崗岩の切石を井桁に組んだ枠石をもち、口は方1.1メートル、高さ0.42メートル。周囲に桁行1.7メートル、梁間1.1メートルの切妻造・桟瓦葺の上屋を設ける。上屋は四隅に角柱を立てて貫などで固め、梁から釣瓶を下げる。登録上の面積は1.2平方メートルで、面積が記録されている寶福寺の登録建造物のなかでは最も小さい。
文化庁の解説は、この井戸を食堂などで使われる井戸と記す。食堂は「じきどう」と読み、僧が食事をとる建物で、方丈の東に建つ玄関及び食堂の奥にある。寶福寺中井戸の登録番号は33-0208である。
登録の理由と価値 ― 食堂と一体になった水場
寶福寺中井戸は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。年代は江戸時代後期(1751〜1829年)とされる。
この井戸の特徴は、建物との距離の近さにある。食堂の北側の濡縁に接して置かれ、濡縁のすぐ脇に井戸がある。上屋の梁には釣瓶が下がり、井戸の水を汲み上げる道具立てまでが一つの構造にまとめられている。建物と水場を一続きに設けた構成は、食堂での僧の生活に井戸が欠かせなかったことを示している。
寶福寺の登録建造物には3基の井戸がある。仏殿の行事に使われる千尺井、庫裏の台所に付属する典座井戸、そして食堂に接する寶福寺中井戸で、それぞれ仕える建物が異なる。
見どころ
寶福寺中井戸でまず見たいのは、上屋の梁から下がる釣瓶である。四隅の角柱を貫でつなぎ、その上の梁に釣瓶を掛ける構成で、井戸の上屋が水を汲むための道具を支える役目も担っていることがわかる。
次に井桁の枠石を見る。厚さ17センチメートルの花崗岩は、境内の3基の井戸のなかで最も厚い。口は方1.1メートルと最も小さく、厚い石で小さな口を固めた、がっしりとした井桁である。
そして食堂の濡縁との取り合いを確かめたい。建物の縁と井戸の上屋が接する位置関係は境内の他の井戸には見られない配置で、玄関及び食堂の北側に回るとその様子がわかる。
見学の手引き
寶福寺中井戸は玄関及び食堂の北側にあり、外から見学できる。
方丈の東に建つ玄関及び食堂の奥に食堂があり、その北側の濡縁に寶福寺中井戸が接している。寺の生活の場に近いため、釣瓶や井桁には触れず、通路から見学したい。
撮影を制限する掲示は案内類には見当たらない。濡縁と井戸の位置関係は、北側から建物と一緒に見ると、食堂の水場としての使われ方が想像しやすい。
Q&A
- 寶福寺中井戸はいつ造られましたか。
- 江戸時代後期(1751〜1829年)の築造です。2009年(平成21年)1月8日に国の登録有形文化財に登録されました。
- 寶福寺中井戸はどこにありますか。
- 食堂の北側の濡縁に接して設けられています。食堂は方丈の東に建つ玄関及び食堂の奥にあります。
- 寶福寺中井戸の大きさは?
- 井桁は方1.1メートル・高さ0.42メートル、上屋は桁行1.7メートル・梁間1.1メートルです。
- 寶福寺中井戸の見どころは?
- 切妻造・桟瓦葺の上屋の梁から下がる釣瓶と、厚さ17センチメートルの花崗岩の井桁です。
- 寶福寺中井戸はどこにありますか。
- 玄関及び食堂の北側、食堂の濡縁に接して設けられています。外から見学できます。
基本情報
| 名称 | 寶福寺中井戸(ほうふくじなかいど) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県総社市井尻野1968-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2009年(平成21年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 石造、面積1.2平方メートル、上屋付 |
| 所有者 | 宗教法人寶福寺 |
| 公開状況 | 屋外のため見学可 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)寶福寺中井戸
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007591
- 文化遺産オンライン 寶福寺中井戸
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/187493
- 国指定文化財等データベース(文化庁)寶福寺玄関及び食堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007588
- 総社市 国登録_宝福寺建造物群(方丈・庫裏・仏殿など全24件)
- https://www.city.soja.okayama.jp/soshiki/26/2960.html
最終更新日: 2026.09.25