海神三神を一つの社殿に祀る

住吉大社摂社志賀神社本殿は、大阪市住吉区住吉の住吉大社で、摂社大海神社本殿の南側に西を向いて建つ17世紀後期の社殿で、平成30年(2018年)5月10日に国の登録有形文化財に登録されたのち、令和7年(2025年)3月24日に大阪府指定有形文化財(指定名は「摂社志賀社本殿」)となった。三間社流造、見世棚造、本瓦葺で、建築面積は8.6平方メートル。

志賀神社は、福岡市東区志賀島の志賀海神社を本社とし、底津少童命・中津少童命・表津少童命のワタツミ三神を一つの社殿に並べて祀る。住吉の祭神である底筒男命ら三神と同じときに生まれた海の神で、住吉大神が航海と港の守り神であるのに対し、ワタツミ三神は海そのものの霊威を持つ神として信仰されてきたと公式サイトは説明している。

境内で唯一の三間社流造

住吉大社の摂社・末社の社殿の多くは、住吉造を思わせる切妻造妻入の一間社である。そのなかで住吉大社摂社志賀神社本殿は、境内で唯一の三間社流造である。大阪府の指定説明は、三神を祀るために三間とした形式であり、航海信仰の大海神社域にあることを示す大きな特徴だとしている。規模は桁行2.73メートル、梁間1.30メートル、庇の出は約1.1メートル。

亀腹の基壇に丸柱を立て、組物は大斗肘木、妻は虹梁大瓶束で棟を受ける。正面の柱間には板扉を嵌め、身舎の正面に切目縁を回して組高欄を置き、見切りに脇障子を建てる。懸魚は猪の目懸魚。庇の柱は角柱で、中央2本に出三斗、両端に連三斗を載せ、正面に木階五級を置く。柱を丹塗、壁を胡粉塗とする点は本宮の本殿と同じである。

建築年代は、元禄期の『住吉松葉大記』に記された規模が現状と一致すること、承応2年(1653年)の『摂津国住吉社絵図』に同じ三間社が描かれていること、虹梁の渦の彫りが浅く円に近いことなどから、17世紀後期とされる。宝永5年(1708年)の大海神社本殿より古く、大阪府は境内の社殿のなかで最古級とみている。もとは大海神社の北西にあり、昭和38年(1963年)に現在地へ移され、平成24年(2012年)に屋根と塗装の修理が行われた。

見どころと見学

大海神社の社殿群の南側に並ぶ住吉大社摂社志賀神社本殿は、三つの板扉が横に並ぶ正面で見分けられる。一間社の多い境内で、横に長い正面と、前に張り出した庇の流れはすぐに目に入る。庇の柱の上で、中央と両端の組物の形が違うことも確かめたい。

外観は境内の開門時間内に見ることができ、拝観料はかからない。例祭は9月9日。国の登録有形文化財としての記録は、令和7年の大阪府指定ののち文化庁のデータベースから見当たらなくなっている。参拝時間と行き方は住吉大社のページにまとめてある。

Q&A

Q住吉大社摂社志賀神社本殿には何が祀られていますか。
A底津少童命・中津少童命・表津少童命のワタツミ三神です。福岡市志賀島の志賀海神社を本社とし、三神を一つの社殿に並べて祀っています。
Q住吉大社摂社志賀神社本殿の建築の特徴は。
A境内で唯一の三間社流造で、見世棚造・本瓦葺です。三神を祀るために三間とした形式と考えられています。
Q住吉大社摂社志賀神社本殿はいつ建てられましたか。
A17世紀後期とされ、宝永5年(1708年)の大海神社本殿より古く、境内の社殿で最古級です。昭和38年(1963年)に現在地へ移されました。
Q住吉大社摂社志賀神社本殿は文化財ですか。
A平成30年(2018年)5月10日に国の登録有形文化財に登録され、令和7年(2025年)3月24日に大阪府指定有形文化財となりました。
Q住吉大社摂社志賀神社本殿はどこにありますか。
A本宮域の北側、摂社大海神社本殿の南側に西を向いて建っています。外観は開門時間内に自由に見られます。

基本データ

名称住吉大社摂社志賀神社本殿(すみよしたいしゃせっしゃしがじんじゃほんでん)
所在地大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89
指定区分大阪府指定有形文化財(建造物、令和7年指定)。指定以前は国の登録有形文化財(平成30年登録)
指定年平成30年(2018年)5月10日国登録、令和7年(2025年)3月24日大阪府指定
員数1棟
寸法木造、三間社流造、見世棚、本瓦葺、建築面積8.6平方メートル。桁行2.73メートル、梁間1.30メートル
所有者宗教法人住吉大社
公開状況外観は開門時間内に見学可(参拝無料)

参考文献

大阪府 — 大阪府指定文化財 住吉大社 指定説明(境内の文化財建造物一覧を含む)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/26540/01_sumiyoshitaisya_sitei.pdf
住吉大社 公式サイト — 摂社
https://www.sumiyoshitaisha.net/grounds/sessya.html

最終更新日: 2026.10.01