主屋の奥に建つ大正の接客棟
矢野酒造離れは、佐賀県鹿島市大字高津原の矢野酒造に建つ大正10年(1921年)頃の木造2階建の接客用の建物で、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「やのしゅぞうはなれ」。
主屋の西の奥に渡り廊下でつながる東西棟で、建築面積は98平方メートル。矢野酒造離れは、街道に面した主屋と、その西に並ぶ蔵の列とのあいだに位置している。
入母屋造と竪羽目板張の外観
屋根は入母屋造の桟瓦葺、外壁は板を縦に張り並べた竪羽目板張である。東面と南面には瓦葺の庇が付く。
街道側の主屋と旧精米所が白い漆喰の壁を見せるのに対し、敷地の奥に建つ矢野酒造離れは板張りの壁で仕上げている。仕込みや貯蔵の蔵に囲まれた位置にありながら、蔵とは異なる、住まいの側の建物としての表情をもつ。
15畳の座敷と三方の縁
文化庁の解説によれば、矢野酒造離れの1階は床構えを備えた15畳の座敷と、10畳の次の間からなる。東・南・西の三方に縁をめぐらせる。
2階も1階と同じ平面で、上下に同じ間取りの座敷を重ねた造りになる。主屋の居室とは別棟に、床の間をもつ広い座敷を二層構えた点に、来客を迎える場を独立させようとした意図がうかがえる。
東と南の庇、三方の縁という構成からは、座敷の前に庭が開けていたことも想像される。ただし当初の庭の様子を記した資料は見当たらない。
登録の理由と大正期の建築
矢野酒造離れの登録番号は41-0054、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
建築年代の大正10年(1921年)頃は、西蔵の建築と同じ頃にあたる。五代目当主の矢野和良が家業を広げていた時期の建物だが、矢野酒造離れが建てられた経緯を具体的に記した資料は確認できない。
矢野酒造離れの見学
矢野酒造離れは主屋の西の奥にあり、街道からはほとんど見えない。渡り廊下で主屋とつながる棟なので、敷地に入らなければ全体を見ることは難しい。
蔵元が見学先として案内しているのは旧精米所を改装した「たつみの蔵」だけで、矢野酒造離れの座敷を公開するという案内は見当たらない。蔵元の私有地に建つ建物なので、無断で敷地に入らないようにしたい。
Q&A
- 矢野酒造離れはどんな建物ですか?
- 主屋の西奥に渡り廊下でつながる、大正10年(1921年)頃の木造2階建の接客用の建物です。
- 矢野酒造離れの座敷はどれくらいの広さですか?
- 1階は床構えを備えた15畳の座敷と10畳の次の間からなり、2階も同じ平面です。東・南・西の三方に縁がめぐります。
- 矢野酒造離れの外観の特徴は何ですか?
- 入母屋造・桟瓦葺で、外壁は竪羽目板張です。東面と南面に瓦葺の庇が付き、白漆喰の主屋とは違う板張りの外観です。
- 矢野酒造離れは見学できますか?
- 座敷を公開するという案内はありません。主屋の奥にあるため街道からもほとんど見えません。蔵元が見学先として案内しているのは旧精米所(たつみの蔵)です。
- 矢野酒造離れはなぜ登録有形文化財なのですか?
- 平成18年(2006年)8月3日に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。登録番号は41-0054です。
基本情報
| 名称 | 矢野酒造離れ(やのしゅぞうはなれ) |
|---|---|
| 所在地 | 佐賀県鹿島市大字高津原字一本杉3903-1他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)、登録番号41-0054 |
| 指定年 | 平成18年(2006年)8月3日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、入母屋造、桟瓦葺、外壁竪羽目板張、建築面積98平方メートル(1階は15畳と10畳の2室) |
| 所有者 | 矢野酒造株式会社 |
| 公開状況 | 非公開。街道からはほとんど見えない |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):矢野酒造離れ
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005670
- 国指定文化財等データベース(文化庁):矢野酒造主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005669
- 佐賀県遺産データベース(佐賀県):第2012-1号 矢野酒造
- https://www.pref.saga.lg.jp/dynamic/isan/info/pub/Detail.aspx?c_id=90&id=131&wd=%E7%9F%A2%E9%87%8E
- 矢野酒造株式会社 公式サイト:会社概要
- https://yanoshuzou.jp/?page_id=180
最終更新日: 2026.09.28