日吉大社西本宮楼門とは
日吉大社西本宮楼門は、滋賀県大津市坂本本町の日吉大社境内に建つ安土桃山時代の門で、大正6年(1917年)に重要文化財に指定された。3間1戸の楼門、入母屋造、檜皮葺。文化庁の国指定文化財等データベースは造立を天正14年(1586年)とし、大津市の解説は1586年頃としている。
楼門とは2階建ての門のうち、屋根が2階部分にしか架からず、1階の上に縁がめぐる形式を指す。同じ境内の東本宮楼門も同形式だが、大津市の文化財解説は西本宮楼門のほうが大きいと明記している。実際に両者を見比べると、柱の太さと軒の出の差がはっきりする。
元亀2年(1571年)に日吉社の社殿が焼き討ちで失われた後、西本宮の本殿・拝殿が建てられたのが天正14年(1586年)である。日吉大社西本宮楼門もこの再建期の建物にあたる。門と社殿が同時期に整えられたことで、西本宮の一画は様式の揃った構えになっている。
軒下の四隅にいる棟持猿
この門で最初に探したいのは猿である。日吉大社の公式解説によれば、西本宮楼門の軒下四隅にはそれぞれ異なる姿勢の神猿が置かれており、これを棟持猿と呼ぶ。屋根の重さを担ぐ格好で、参拝者を見下ろしている。四隅を順に回れば、腕の角度や首の向きが一体ずつ違うことが分かる。
猿はもう一群いる。楼門2階部分の正面、蟇股の内側には3匹の神猿が松の木の上で遊ぶ意匠が彫られている。棟持猿が構造材のように扱われているのに対し、こちらは純粋な装飾である。同じ門の上下で、猿の扱われ方が違う。
なぜ猿なのか。日吉大社では古くから「日吉といえば猿」と言われ、猿は魔除けの象徴として大切にされてきた。「まさる」の音が「魔が去る」「勝る」に通じるという説明が公式に示されている。境内では室町時代の記録にすでに猿を飼っていたことが見え、江戸時代の絵図には猿飼所や猿厩の名がある。日吉大社西本宮楼門の彫刻は、その信仰が建築の細部にまで及んだ例である。
門をくぐるまでと、くぐってから
日吉大社西本宮楼門は、参道を歩いてきた参拝者が最初に対面する大きな建造物になる。石段の下から見上げると、檜皮葺の軒が層になって重なり、2階の縁が水平線を引く。楼門はこの縁があることで、上下2段の構成として目に入る。
くぐった先には西本宮の拝殿と本殿が続く。門の位置は、境内の空間が屋外から社殿の領域へ切り替わる境目にあたる。立ち止まって振り返ると、坂本の町へ向かって参道がまっすぐ落ちていくのが見える。
この門の前は案内の起点でもある。日吉大社では神職による境内案内を西本宮楼門前で10分から15分ほど受けられる(要予約)。より詳しい解説を希望する場合は、坂本観光協会が窓口となる観光ボランティアガイドの利用が案内されている。
見学方法とアクセス
日吉大社西本宮楼門は、入苑受付を通れば誰でも見学できる。門の下は通路なので、くぐりながら見上げる形になる。入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料、30名以上の団体は1名450円。赤鳥居を進んだ西受付、車の場合は東受付で納める。
参拝時間は午前9時から午後4時。西本宮の開門はこれより早く、4月から9月は午前6時から午後4時、10月から3月は午前7時から午後4時である。楼門の2階に上がることはできない。撮影の制限はないので、軒下の棟持猿は望遠のきくカメラがあると細部まで確認できる。
アクセスは京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分。乗用車の駐車場は約50台分で無料だが、11月は有料になる。大型バスは境内に入れないため、赤鳥居前で降車し、車両は大宮川観光駐車場へ回送する。境内を一周する所要時間はおよそ40分である。
Q&A
- 日吉大社西本宮楼門はいつ建てられ、いつ指定されたのですか。
- 文化庁の国指定文化財等データベースは造立を天正14年(1586年)としています。大正6年(1917年)に重要文化財に指定されました。西本宮の本殿・拝殿と同じ再建期の建物です。
- 日吉大社西本宮楼門の猿の彫刻はどこにありますか。
- 軒下の四隅に、それぞれ姿勢の異なる棟持猿がいます。さらに2階部分正面の蟇股には、松の上で遊ぶ3匹の神猿が彫られています。いずれも地上から見上げて確認できます。
- 日吉大社西本宮楼門と東本宮楼門はどちらが大きいのですか。
- 西本宮楼門のほうが大きいと大津市の文化財解説は記しています。どちらも3間1戸、入母屋造、檜皮葺の同じ形式ですが、規模と細部の扱いが異なります。
- 日吉大社西本宮楼門の2階に上がれますか。撮影はできますか。
- 2階へは上がれません。門の下は通路として通れます。境内での撮影に制限はありませんので、軒下の彫刻も自由に撮影できます。
- 日吉大社西本宮楼門への行き方と拝観料を教えてください。
- 京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分です。入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料。門の前では神職による10分から15分ほどの境内案内を予約制で受けられます。
基本データ
| 名称 | 日吉大社西本宮楼門 |
|---|---|
| 所在地 | 滋賀県大津市坂本本町(日吉大社境内) |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 大正6年(1917年)重要文化財指定 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 3間1戸楼門 |
| 所有者 | 日吉大社 |
| 公開状況 | 通年見学可能(入苑協賛料 大人500円)。門下は通行可、上層は非公開 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社西本宮楼門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1358
- 大津市 日吉大社 西本宮 楼門
- https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60719.html
- 日吉大社 神猿について
- https://hiyoshitaisha.jp/masaru/
- 日吉大社 よくあるご質問
- https://hiyoshitaisha.jp/faq/
- 日吉大社 交通アクセス
- https://hiyoshitaisha.jp/access/
最終更新日: 2026.09.08