日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿とは

日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿は、滋賀県大津市坂本本町の日吉大社境内に建つ安土桃山時代の社殿2棟で、本殿は明治34年(1901年)、拝殿は昭和39年(1964年)に重要文化財に指定された。造立はいずれも慶長3年(1598年)、本殿と拝殿が同じ年に揃えて建てられている。

宇佐宮は山王七社のひとつで、田心姫神を祀る。社名は九州の宇佐に由来し、西本宮系の三社として白山姫神社とともに平安時代に加わったと考えられている。境内では西本宮の北側、山側へ一段上がった位置にある。

元亀2年(1571年)の焼き討ちののち、日吉社の再建は社ごとに順を追って進んだ。西本宮が天正14年(1586年)、東本宮が文禄4年(1595年)、そして宇佐宮が慶長3年(1598年)である。日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿は、その再建事業の後半に位置する建物になる。

床下に岩が露出している

本殿は桁行5間・梁間3間、日吉造、檜皮葺。日吉造は身舎の正面と両側面の3面にだけ庇を付け、背面には付けない形式で、日吉大社の公式解説によれば境内でこの形式を用いるのは東西両本宮とこの宇佐宮の3社に限られる。3棟のうち最も新しいのが宇佐宮本殿である。

この建物に固有の特徴は足元にある。大津市の文化財解説は、高い床下に大きな岩が露出している点を宇佐宮本殿の特徴として挙げる。日吉造は床を高く組む形式で、床下には下殿と呼ばれる空間が生まれるが、宇佐宮の場合その空間に地山の岩がそのまま突き出している。整地して平らな基壇をつくるのではなく、岩を避けずに建物を載せた。

床下をのぞき込むと、加工されていない岩肌と、その上に規則正しく並ぶ束柱が同時に目に入る。日吉大社摂社宇佐宮本殿は、自然の地形と大工仕事が一枚の画面に収まる珍しい建物である。八王子山の磐座信仰を出発点とするこの神社で、岩が建築の内側に取り込まれているという事実は、単なる施工上の都合以上のものを思わせる。

拝殿と、3棟の日吉造を見比べる

拝殿は桁行3間・梁間3間の一重、入母屋造妻入、檜皮葺。天井は小組格天井である。四方に壁を持たないため、拝殿の中を通して本殿の床下が見通せる。岩を確認するにはこの位置がよい。

日吉造の3棟を続けて見ると、同じ形式でも印象が違うことが分かる。西本宮本殿は天正14年(1586年)、東本宮本殿は文禄4年(1595年)、日吉大社摂社宇佐宮本殿は慶長3年(1598年)。12年のあいだに3棟が建ち、形式は保たれたまま細部が動いている。3棟をこの順に歩けば、桃山という時代のなかでの変化が追える。

宇佐宮の拝殿は本殿と同じ年の造立だが、重要文化財に指定されたのは本殿より63年遅い昭和39年(1964年)だった。文化庁の解説は、各本殿の前にそれぞれ拝殿があり造営年代も等しいことから、本殿に拝殿を追加指定したと説明している。日吉大社では本殿と拝殿を一体で捉える見方が、後になって制度に反映された形である。

見学方法とアクセス

日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿は、境内に入れば外観を自由に見学できる。入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料、30名以上の団体は1名450円である。西受付から西本宮へ進み、そのまま北へ上がると宇佐宮に至る。西本宮からは数分の距離になる。

参拝時間は午前9時から午後4時。西本宮・東本宮の開門は4月から9月が午前6時から午後4時、10月から3月が午前7時から午後4時である。本殿・拝殿とも内部は非公開で、外からの見学となる。撮影の制限はない。床下の岩を見るには、拝殿越しに本殿の基礎を見上げる位置に立つとよい。

鉄道は京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分。乗用車の駐車場は約50台分で無料だが、11月は有料になる。境内は起伏があるので、歩きやすい靴が望ましい。一周の所要時間はおよそ40分である。

Q&A

Q日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿はいつ建てられたのですか。
A本殿・拝殿とも慶長3年(1598年)の造立です。重要文化財への指定は本殿が明治34年(1901年)、拝殿が昭和39年(1964年)で、63年の開きがあります。
Q日吉大社摂社宇佐宮本殿の床下にある岩は何ですか。
A地山の岩がそのまま露出しているもので、大津市の文化財解説はこれを宇佐宮本殿の特徴として挙げています。整地せずに岩の上へ建物を載せた形で、拝殿の側から見上げると確認できます。
Q日吉大社摂社宇佐宮本殿の日吉造は、ほかにどこで見られますか。
A日吉大社の公式解説によれば、この形式が使われているのは東西両本宮と宇佐宮の3社です。3棟は天正14年(1586年)、文禄4年(1595年)、慶長3年(1598年)と12年のあいだに順に建てられました。
Q日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿の内部に入れますか。
Aどちらも内部は非公開です。外観の見学と撮影は自由にできます。参拝時間は午前9時から午後4時で、境内の開門は4月から9月が午前6時、10月から3月が午前7時です。
Q日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿はどこにありますか。
A日吉大社境内の西本宮から北へ一段上がった位置にあり、西本宮から数分です。日吉大社へは京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分です。入苑協賛料は大人500円です。

基本データ

名称日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿
所在地滋賀県大津市坂本本町(日吉大社境内)
指定区分重要文化財
指定年明治34年(1901年)重要文化財指定(本殿)、昭和39年(1964年)重要文化財指定(拝殿)
員数2棟
寸法本殿 桁行5間・梁間3間、拝殿 桁行3間・梁間3間
所有者日吉大社
公開状況境内から外観を通年見学可能(入苑協賛料 大人500円)。本殿・拝殿とも内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿 本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1348
文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社摂社宇佐宮本殿及び拝殿 拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1349
大津市 日吉大社 摂社宇佐宮 本殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60724.html
大津市 日吉大社 摂社宇佐宮 拝殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60725.html
日吉大社 よくあるご質問
https://hiyoshitaisha.jp/faq/
日吉大社 交通アクセス
https://hiyoshitaisha.jp/access/

最終更新日: 2026.09.08

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