日吉大社西本宮本殿及び拝殿とは

日吉大社西本宮本殿及び拝殿は、滋賀県大津市坂本本町の日吉大社境内に建つ安土桃山時代の社殿2棟で、本殿は明治34年(1901年)に重要文化財、昭和36年(1961年)に国宝に指定され、拝殿は昭和39年(1964年)に重要文化財に指定された。西本宮は大己貴神を祀り、古くから「大宮」の名でも呼ばれてきた一画である。

元亀2年(1571年)の比叡山焼き討ちで、日吉社の社殿はほぼ失われている。現在の本殿は天正14年(1586年)の造立で、拝殿も同じ年に建てられた。文化庁の国指定文化財等データベースは、本殿が慶長2年(1597年)に外部の大修理を受けたことを記録している。造立から11年後には、すでに手が入っていたことになる。

西本宮の祭神は、天智天皇の時代に大和の大神神社から迎えたと伝えられる。比叡山の地主神を祀る東本宮に対し、西本宮は後から加わった社でありながら、中世を通じて日吉社の中心として扱われた。日吉大社西本宮本殿及び拝殿は、その位置づけを建物の規模と格式で示している。

日吉造 ― 背面だけ庇を欠く屋根

本殿は桁行5間・梁間3間、檜皮葺。屋根の形式は日吉造と呼ばれ、大津市の文化財解説はこれを全国で日吉大社にしか見られない構造と説明する。日吉大社の公式解説によれば、この形式が用いられているのは東西両本宮と宇佐宮の3社に限られる。

構成そのものは単純である。3間に2間の身舎があり、その正面と両側面の3面に庇が付く。背面にだけ庇がない。屋根はこの平面をそのまま反映するので、正面から見れば入母屋造の寺院建築とほとんど区別がつかないのに、裏へまわると軒が途中で断ち切られたような形になる。古い記録はこの姿を「三間三面」と書き表しており、平安時代以来の古式を伝えたものと考えられている。

もうひとつの特徴は床の高さにある。床下には下殿と呼ばれる部屋があり、明治の神仏分離まで本地仏や仏画が置かれ、僧侶が仏事を営んでいた。神仏習合の実態が、床下という目に見えにくい場所に建築として残されている。文化庁の解説はこの装置を、神仏習合による特殊形態として興味深いものと位置づけている。

本殿の内陣は板壁に囲まれ、扉は正面中央にしかない。その閉ざされた内陣の外側を庇(外陣)が三方から包む。日吉造の外形は、この内側の構成が屋根の形にそのまま現れたものである。

実物を前にして見ておきたいところ

拝殿は桁行3間・梁間3間の一重、入母屋造、妻入、檜皮葺。四方に壁を持たない開放的な建物で、天井は中央部が一段高くなった折上小組格天井である。格天井の細かい組子が、屋根の勾配とは別の水平面をつくり、拝殿の内部に落ち着いた広がりを与えている。ここは現在も祈祷の場として使われており、参拝者が最も長い時間を過ごす建物になる。

拝殿を通り抜けた正面に本殿が立つ。本殿の屋根の上には、木製の獅子と狛犬が据えられている。日吉大社では向かって右が獅子、左が狛犬で、本来は内陣で神を守っていたものが、時代が下るにつれて屋根の上に置かれるようになったと説明されている。石造ではなく木のまま残っているのは、雨ざらしにならない位置にあるためである。

床下も見ておきたい。日吉大社西本宮本殿の床は高く組まれており、下殿の入口が確認できる。神社建築で床下がこれほど意識的に空間化されている例は多くない。

見学方法とアクセス

日吉大社西本宮本殿及び拝殿は、日吉大社の境内に入れば外観を自由に見学できる。境内への入苑には協賛料が必要で、大人500円、中高生300円、小学生以下は無料。30名以上の団体は1名450円となる。受付は赤鳥居を進んだ西受付、車の場合は東受付で納める。

参拝時間は午前9時から午後4時。西本宮と東本宮の開門は季節で変わり、4月から9月は午前6時から午後4時、10月から3月は午前7時から午後4時である。

本殿の内部は通常非公開だが、下殿特別祈祷を申し込むと本殿に昇殿できる。祈祷料は2願意まで20,000円、3願意以上は20,000円に1願意あたり10,000円が加わる。所要は20分ほど。通常のご祈祷は西本宮拝殿で行われ、受付は西本宮授与所で午前9時から午後3時30分、祈祷料は1願意5,000円以上である。境内での撮影は妨げられないが、ご祈祷の最中は原則として撮影を控えるよう案内されている。

最寄り駅は京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅で、徒歩約10分。JR湖西線の比叡山坂本駅からは徒歩約20分になる。乗用車は境内に約50台分の駐車場があり、料金は無料(11月は有料)。境内を一周する所要時間は約40分、紅葉の時期は90分ほどをみておくとよい。

Q&A

Q日吉大社西本宮本殿及び拝殿は拝観できますか。時間と料金を教えてください。
A境内に入れば外観を自由に見学できます。参拝時間は午前9時から午後4時、入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料です。西本宮の開門は4月から9月が午前6時から午後4時、10月から3月が午前7時から午後4時です。
Q日吉大社西本宮本殿の内部に入ることはできますか。
A通常は非公開です。ただし下殿特別祈祷を申し込むと本殿に昇殿できます。祈祷料は2願意まで20,000円、所要時間は20分ほどです。通常のご祈祷は拝殿で行われ、受付は西本宮授与所、午前9時から午後3時30分です。
Q日吉大社西本宮本殿及び拝殿はいつ建てられたものですか。
A本殿・拝殿とも天正14年(1586年)の造立です。元亀2年(1571年)の比叡山焼き討ちで社殿が失われた後の再建にあたります。本殿は慶長2年(1597年)に外部の大修理を受けています。
Q日吉大社西本宮本殿に使われている日吉造とは、どのような形式ですか。
A3間2間の身舎の正面と両側面の3面だけに庇を付け、背面には付けない形式です。屋根も背面だけが特殊な形になります。床が高く、床下に下殿と呼ばれる部屋があるのも特徴で、明治の神仏分離までここに本地仏が祀られていました。
Q日吉大社西本宮本殿及び拝殿へはどう行けばよいですか。
A京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分です。乗用車は境内に約50台分の無料駐車場があります(11月は有料)。大型バスは境内に入れません。

基本データ

名称日吉大社西本宮本殿及び拝殿
所在地滋賀県大津市坂本本町(日吉大社境内)
指定区分国宝(本殿)、重要文化財(拝殿)
指定年昭和36年(1961年)国宝指定(本殿)、明治34年(1901年)重要文化財指定(本殿)、昭和39年(1964年)重要文化財指定(拝殿)
員数2棟
寸法本殿 桁行5間・梁間3間、拝殿 桁行3間・梁間3間
所有者日吉大社
公開状況境内から外観を通年見学可能(入苑協賛料 大人500円)。本殿内部は非公開だが下殿特別祈祷の申込者は昇殿可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社西本宮本殿及び拝殿 本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1344
文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社西本宮本殿及び拝殿 拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1345
大津市 日吉大社 西本宮 本殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60717.html
大津市 日吉大社 西本宮 拝殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60718.html
日吉大社 ご祈祷・結婚式
https://hiyoshitaisha.jp/gokitou/
日吉大社 よくあるご質問
https://hiyoshitaisha.jp/faq/
日吉大社 交通アクセス
https://hiyoshitaisha.jp/access/

最終更新日: 2026.09.08

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