日吉大社東本宮本殿及び拝殿とは

日吉大社東本宮本殿及び拝殿は、滋賀県大津市坂本本町にある安土桃山時代の社殿2棟で、本殿は明治34年(1901年)に重要文化財、昭和36年(1961年)に国宝へ格上げされ、拝殿は昭和39年(1964年)に重要文化財に指定された。祀られているのは大山咋神。『古事記』に比叡山(日枝山)に坐す神として名の見える、この山の地主神である。

日吉大社の歴史はこの神からはじまる。背後にそびえる八王子山を神体山として祭祀が営まれ、山麓に里宮が形成された。西本宮の神が大和から迎えられたのは天智天皇の時代と伝えられるから、東本宮のほうが古い。中世には西本宮が大宮として重んじられ、東本宮は二の宮と呼ばれた時期もあったが、現在は旧に復している。

現在の本殿は文禄4年(1595年)、拝殿は翌文禄5年(1596年)の造立である。元亀2年(1571年)の比叡山焼き討ちで社殿を失った後、西本宮に9年遅れて再建された。

西本宮本殿との違いを読む

本殿は桁行5間・梁間3間、日吉造、檜皮葺。西本宮本殿と同形式で、身舎の正面と両側面にだけ庇を付け、背面には付けない。正面から眺めるかぎり両者はよく似ている。

違いは細部にある。大津市の文化財解説は、東本宮本殿では背面の床が一段高くなっている点を、西本宮本殿と異なるところとして挙げる。文化庁の解説はさらに踏み込み、舟肘木の制度、背面の廻縁の形態、窓の位置に若干の相違があると記す。同じ形式の建物が10年を隔てて造られたとき、大工の判断がどこに現れるのか。二棟を続けて見ると、その差が具体的に見えてくる。

共通する特徴もある。床が高く組まれ、床下の内部に本地仏を祀る装置が設けられていることだ。文化庁はこれを神仏習合による特殊形態として、興味深いものと位置づけている。日吉大社が比叡山延暦寺と一体に運営されていた時代、社殿の床下は仏の領域だった。

日吉造という形式そのものが、平安時代以来の古い記録に「三間三面」と表現された姿を伝えるものと考えられている。東本宮本殿は、その古式を桃山の技術で組み直した建物である。

拝殿と、境内の配置

拝殿は桁行3間・梁間3間の一重、入母屋造妻入、檜皮葺。四方に壁がなく、天井は小組格天井である。西本宮の拝殿が中央を一段高く折り上げるのに対し、こちらは平らな格天井でまとめられている。

日吉大社東本宮本殿及び拝殿を訪ねると、境内の配置が独特であることに気づく。楼門をくぐって正面に立つのは摂社樹下神社の拝殿で、その奥に樹下神社本殿がある。東本宮の本殿と拝殿は、この列と向きを違えて構えている。参道を進みながら軸が切り替わる感覚は、平面図を見るより現地で歩いたほうがはっきり分かる。

年に一度、この場所は祭りの舞台になる。4月12日の午の神事では、3月上旬に八王子山の奥宮へ上げられていた神輿が、松明の火だけを頼りに急坂を担ぎ降ろされ、午後9時20分ごろ東本宮で神事が行われる。日吉大社東本宮本殿の前が、その到達点である。

見学方法とアクセス

日吉大社東本宮本殿及び拝殿は、境内に入れば外観を自由に見学できる。入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料、30名以上の団体は1名450円。車で来た場合は東受付で納める。東本宮は境内の東寄りにあり、赤鳥居から西本宮を経て歩くと、途中に奥宮への登山口を挟んで20分ほどの道のりになる。

参拝時間は午前9時から午後4時。東本宮・西本宮の開門はこれより早く、4月から9月が午前6時から午後4時、10月から3月が午前7時から午後4時である。本殿・拝殿とも内部は非公開で、外からの見学となる。境内での撮影は制限されていない。

東本宮授与所の裏には手洗いがある。境内を一周する所要時間はおよそ40分、11月の紅葉期は90分ほどを見込みたい。約3000本のもみじが色づくのは11月中旬から下旬である。

鉄道では京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分。乗用車の駐車場は約50台分で無料だが、11月は有料となる。大型バスは境内に進入できず、大宮川観光駐車場か東照宮下観光駐車場への回送が求められる。

Q&A

Q日吉大社東本宮本殿及び拝殿はいつ建てられたものですか。
A本殿が文禄4年(1595年)、拝殿が文禄5年(1596年)の造立です。元亀2年(1571年)の比叡山焼き討ちで焼失した後の再建で、天正14年(1586年)に建った西本宮より9年ほど遅れています。指定は、本殿が明治34年(1901年)の重要文化財指定を経て昭和36年(1961年)に国宝となり、拝殿が昭和39年(1964年)に重要文化財となりました。
Q日吉大社東本宮本殿と西本宮本殿はどこが違うのですか。
Aどちらも日吉造で桁行5間・梁間3間ですが、東本宮本殿は背面の床が一段高くなっています。ほかに舟肘木の形、背面の廻縁の形態、窓の位置にも若干の違いがあると文化庁の解説は記しています。
Q日吉大社東本宮本殿及び拝殿の内部に入れますか。
A本殿・拝殿とも内部は非公開です。外観の見学は境内から自由にでき、撮影も制限されていません。参拝時間は午前9時から午後4時、東本宮の開門は4月から9月が午前6時、10月から3月が午前7時です。
Q日吉大社東本宮本殿の祭神は誰ですか。
A大山咋神です。『古事記』に比叡山に坐す神として記され、この山の地主神とされてきました。背後の八王子山を神体山とする信仰が日吉大社の起点にあたります。
Q日吉大社東本宮本殿及び拝殿への行き方と拝観料を教えてください。
A京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から徒歩約10分、JR湖西線の比叡山坂本駅から徒歩約20分です。入苑協賛料は大人500円、中高生300円、小学生以下無料。駐車場は乗用車約50台分で無料ですが、11月は有料になります。

基本データ

名称日吉大社東本宮本殿及び拝殿
所在地滋賀県大津市坂本本町(日吉大社境内)
指定区分国宝(本殿)、重要文化財(拝殿)
指定年昭和36年(1961年)国宝指定(本殿)、明治34年(1901年)重要文化財指定(本殿)、昭和39年(1964年)重要文化財指定(拝殿)
員数2棟
寸法本殿 桁行5間・梁間3間、拝殿 桁行3間・梁間3間
所有者日吉大社
公開状況境内から外観を通年見学可能(入苑協賛料 大人500円)。本殿・拝殿とも内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社東本宮本殿及び拝殿 本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1346
文化庁 国指定文化財等データベース 日吉大社東本宮本殿及び拝殿 拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1347
大津市 日吉大社 東本宮 本殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60721.html
大津市 日吉大社 東本宮 拝殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60722.html
日吉大社 山王祭について
https://hiyoshitaisha.jp/event/sannou/
日吉大社 よくあるご質問
https://hiyoshitaisha.jp/faq/
日吉大社 交通アクセス
https://hiyoshitaisha.jp/access/

最終更新日: 2026.09.08

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