山下家住宅背戸蔵とは

山下家住宅背戸蔵は、島根県江津市松川町畑田にある明治31年(1898年)建築の土蔵造2階建の蔵で、平成22年(2010年)1月15日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「やましたけじゅうたくせとぐら」。建築面積は35平方メートルである。

「背戸」は家の裏手を指す言葉で、その名のとおり山下家住宅背戸蔵は主屋の北側、屋敷のいちばん奥に建つ。棟は東西に通り、明治16年(1883年)の主屋ができてから15年後に加えられた。

白壁と海鼠壁の外観

山下家住宅背戸蔵は桁行6.9メートル、梁間5.0メートルの土蔵造で、屋根は切妻造、石州瓦の赤瓦で葺く。外壁は白い漆喰で仕上げている。

外観の見せ場は東の面にある。足元を海鼠壁とし、出入口と窓を開け、家紋を飾っている。海鼠壁は平らな瓦を壁に張り、目地を漆喰で盛り上げる仕上げで、雨の跳ね返りから壁の裾を守る。四面のうち東面だけに手をかけているのは、この面が出入りに使われ、人の目に触れる正面だったからだろう。

反り返った梁が棟木を支える小屋組

山下家住宅背戸蔵でとりわけ目を引くのは、内部の屋根裏である。大きく反った梁が、束を介さずに棟木を直接受け止めている。文化庁の解説は、この小屋組を力強さのあふれる架構と評している。

曲がった丸太をそのまま生かし、その反りで屋根の頂部まで届かせる組み方は、材の癖を読んで使う大工の判断があって初めて成り立つ。壁の内側は漆喰の上塗りまでせず、中塗りで止めた仕上げで、倉庫としての実用を優先した造りが分かる。外の白壁と家紋で体裁を整え、内側は素朴な土壁と太い梁で固める、という対比が山下家住宅背戸蔵の性格をよく表している。

山下家住宅背戸蔵が登録された理由

山下家住宅背戸蔵は、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録有形文化財となった。主屋の裏に蔵を置く配置は、生活の場と収納の場を前後に分ける農家の屋敷構えの一部であり、山下家住宅背戸蔵はその背面を受け持っている。

山下家住宅には天保12年(1841年)の門蔵もあり、二つの蔵は半世紀あまりの開きをもって建てられた。門蔵が腰を板張りにしているのに対し、背戸蔵は海鼠壁を用いている。同じ屋敷の蔵でも、時代と置かれた場所で仕上げが違う点は見比べる価値がある。

山下家住宅背戸蔵の見学

山下家住宅背戸蔵は個人の住宅の敷地内、主屋の北側にあり、公開についての公式な案内は確認できなかった。通りから見ると主屋の陰に隠れる位置なので、外観を見るのは難しいと考えておきたい。

特徴的な小屋組は蔵の内部にあり、公開の機会がない限り見ることはできない。敷地に立ち入ったり、屋敷の裏手へ回り込んだりしないようにしたい。屋敷への行き方は山下家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q山下家住宅背戸蔵はいつ建てられましたか?
A明治31年(1898年)の建築です。主屋より15年後に、主屋の北側に建てられました。
Q山下家住宅背戸蔵の「背戸」とはどういう意味ですか?
A家の裏手を指す言葉です。山下家住宅背戸蔵は主屋の北側、屋敷の奥に建っています。
Q山下家住宅背戸蔵の外観の特徴は何ですか?
A白漆喰仕上げの土蔵で、東の面は足元を海鼠壁とし、出入口と窓を開けて家紋を飾っています。屋根は切妻造の石州瓦葺です。
Q山下家住宅背戸蔵の小屋組はどうなっていますか?
A大きく反った梁が棟木を直接支える組み方で、文化庁は力強さのあふれる架構と評しています。内部は中塗り仕上げです。
Q山下家住宅背戸蔵は見学できますか?
A個人の住宅の敷地内にあり、公開の公式な案内は確認できませんでした。主屋の裏手にあるため、通りからは見えにくい位置です。

基本情報

名称山下家住宅背戸蔵(やましたけじゅうたくせとぐら)
所在地島根県江津市松川町畑田598
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法桁行6.9m・梁間5.0m、建築面積35㎡(土蔵造2階建、瓦葺)
所有者非公表
公開状況公開情報なし(個人住宅の敷地内)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)山下家住宅背戸蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008061
文化遺産オンライン 山下家住宅背戸蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/193212
島根県 登録有形文化財(建造物)一覧
https://www.pref.shimane.lg.jp/life/bunka/bunkazai/shimane/tourokubunkazai2.html

最終更新日: 2026.09.29