ヤマモ味噌醤油醸造元作業場とは
ヤマモ味噌醤油醸造元作業場は、秋田県湯沢市岩崎にある大正後期(1919〜1926年)の木造平屋建の醸造作業場で、令和6年(2024年)12月3日に登録有形文化財となった。醸造元の敷地の中央に建ち、仕込蔵・諸味蔵・酢蔵などの各施設を結ぶ位置にある。建築面積は345平方メートルで、登録された8棟の中で最も大きい。屋根は鉄板葺。
ここで行うのは、醤油の火入れ・濾過・充填である。火入れは醤油を加熱して発酵を止め、香りと色を整える工程、濾過は濁りを除く工程、充填は瓶や容器に詰める工程をいう。諸味蔵で熟成した醤油が、この建物を通って製品になる。
8棟のうち、土蔵造でない生産の建物はヤマモ味噌醤油醸造元作業場だけである。蔵が原料を寝かせる場所だとすれば、作業場は人と機械が動く場所で、そのための広さと明るさを持つ。
登録の理由と価値
適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、醸造施設の要として各施設を結ぶ役割と、採光のための越屋根(こしやね)が印象的な外観をつくる点を評価している。
平面はL字形で、屋根は切妻造とする。外壁は下見板張と竪板張、鉄板張を使い分ける。1棟の中に3種類の外壁が並ぶ外観は、用途に応じて材料を使い分ける工場建築の性格をよく表している。
内部は梁間7間半の広い土間で、小屋組はキングポストトラスとする。中央の真束と斜材で三角形を組む洋式の小屋組は、柱を立てずに広い空間を覆うのに向く。大正後期の味噌醤油醸造元が、作業の場に洋式の架構を採り入れていたことが分かる。
見どころ
外から見るべきは屋根の上の越屋根である。屋根の棟に沿って一段高い小屋根を載せ、その側面から光と空気を取り込む。ヤマモ味噌醤油醸造元作業場の外観を最も印象づける要素で、建物の中央に明かりを落とす役割を持つ。
内部では空間の使い方に注目したい。秋田県の発酵ツーリズムの案内によれば、圧搾・火入れ・調合・濾過・充填の各工程が、部屋を分けずに一つの大空間の中で行われている。設備は固定されたものではなく、時代に合わせて配置を変えながら今の形になったという。キングポストトラスがつくる柱の少ない広い土間が、こうした並べ替えの余地を残してきた。
文化庁のデータベースには、充填ラインの上部に架かる小屋組の写真と、東面の外観写真が収められている。機械の上に大正の木組みが残る眺めが、この建物の現在の姿である。
見学方法
醸造元のファクトリーツアーの行程には「工場」が含まれており、ヤマモ味噌醤油醸造元作業場はこれにあたると考えられる(2026年9月25日、公式サイトで確認)。ツアーは前日までの事前予約制で、所要は約1時間。稼働中の工場なので、当日の朝は納豆を食べないよう求められている。
敷地の中央にあり、旧羽州街道からは見えない。撮影はツアー中おおむね認められているが、断られる場所もある。製造の設備が動いている場合は、案内に従って見学したい。
施設全体の行き方と見学の条件は、ヤマモ味噌醤油醸造元のページにまとめてある。
Q&A
- ヤマモ味噌醤油醸造元作業場はいつ建てられましたか。
- 大正後期(1919〜1926年)の建築です。
- ヤマモ味噌醤油醸造元作業場では何をしていますか。
- 醤油の火入れ・濾過・充填です。熟成を終えた醤油がここで製品になります。
- ヤマモ味噌醤油醸造元作業場の見どころはどこですか。
- 採光のために屋根の上に設けた越屋根と、梁間7間半の広い土間を覆うキングポストトラスの小屋組です。
- ヤマモ味噌醤油醸造元作業場の内部は見学できますか。
- 醸造元のファクトリーツアー(前日までの予約制)の行程に「工場」が含まれています(2026年9月25日確認)。
- ヤマモ味噌醤油醸造元作業場はなぜ登録有形文化財になったのですか。
- 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。醸造施設の要として各施設を結び、越屋根が印象的な外観をつくる点が評価されています。
基本データ
| 名称 | ヤマモ味噌醤油醸造元作業場(やまもみそしょうゆじょうぞうもとさぎょうば) |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県湯沢市岩崎字岩崎124 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 05-0258 |
| 指定年 | 令和6年(2024年)12月3日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積345平方メートル |
| 所有者 | 個人 |
| 公開状況 | ファクトリーツアー(予約制)で見学できる。通りからは見えない。 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) ヤマモ味噌醤油醸造元作業場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015130
- 文化庁 令和6年7月19日 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)
- https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94084201_01.pdf
- 湯沢市 ヤマモ味噌醬油醸造元店舗兼主屋ほか7棟
- https://www.city-yuzawa.jp/site/bunkazai/6175.html
- ヤマモ味噌醤油醸造元(髙茂合名会社) RESTAURANT & TOUR
- https://yamamo1867.com/plan/
- あきた発酵ツーリズム ヤマモ味噌醤油醸造元/高茂合名会社
- https://hakko.akita-kenmin.jp/kamoshidokoro/424
最終更新日: 2026.09.25