旧北陸線葉原トンネルとは
旧北陸線葉原トンネルは、福井県敦賀市葉原にある明治29年(1896年)竣工の旧鉄道トンネルで、平成28年(2016年)2月25日に登録有形文化財となった。延長979メートル、幅員3.9メートルで、ゆるやかに曲がりながら山を抜ける。旧北陸線に残る11基のトンネルのなかで、山中トンネルに次ぐ長さである。
敦賀側の樫曲トンネルから北へ約6キロ離れた位置にあり、ここから峠越えのトンネルが続いていく。北へ約1.1キロ進むと鮒ヶ谷トンネルがある。敦賀市の一覧は所在地を葉原から阿曽にまたがるものとして載せている。所有者は敦賀市である。
旧北陸線葉原トンネルが登録された理由
旧北陸線葉原トンネルは、旧北陸線のほかの12基とともに「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、山中トンネルと並んで難工事の末に竣工したトンネルとして知られると述べる。
敦賀市の解説によると、請負は有馬組(名義は沢井組)で、敦賀―今庄間の工区のなかでも、固い地盤と明治28年(1895年)の水害によって特に工事が難航した箇所の一つだった。国土交通省の資料は、明治26年(1893年)10月に起工し、明治28年7月の水害で大きな被害を受けたことを記し、圧縮空気で動く米国製の削岩機を使った最初期のトンネルだとしている。人力に頼った掘削から機械の導入へ移る時期の記録としても、旧北陸線葉原トンネルは重みをもつ。
坑門の上には、逓信大臣で元首相の黒田清隆が揮毫した扁額が掲げられていた。南口が「興國咸休」、北口が「永世無窮」で、いずれも現在は滋賀県長浜市の長浜鉄道スクエアに保存されている。
旧北陸線葉原トンネルの見どころ
まず坑門を正面から見たい。文化庁の解説によると、坑門はほぼ左右対称の切石積みで壁柱を付け、パラペット(坑門上部の胸壁)を左右に長く張り出した堂々とした構えである。扁額が外された今も、坑門の格は十分に感じ取れる。
坑門の背面と翼壁には、切石と煉瓦で排水路が精緻に築かれている。斜面から集まる水を坑口に落とさず脇へ逃がす工夫で、雨の日に訪ねると、水がこの溝を伝って流れる様子が見られることがある。
内部はアーチが煉瓦の長手積み、側壁が石積みである。979メートルの長さがあり、中ほどでは両端の明かりが遠のく。その暗さと冷たい空気が、旧北陸線葉原トンネルを歩く体験の核になる。
旧北陸線葉原トンネルの見学方法
旧北陸線葉原トンネルは旧線跡の道路の一部で、車でも徒歩でも通り抜けられる。拝観料や受付はない。幅員3.9メートルの1車線で長さもあるため、車は前照灯をつけ、歩く場合は懐中電灯を持ち、車の接近に気を配りたい。坑内での長い立ち止まりは避けてほしい。
坑門と排水路は坑外から落ち着いて観察できる。歩いて通り抜けるなら片道15分ほどを見込み、帰りの時間も考えて計画したい。撮影の際は道路上であることを忘れず、通行の妨げにならない位置を選んでほしい。
Q&A
- 旧北陸線葉原トンネルはどこにありますか?
- 福井県敦賀市葉原にあります。敦賀側の樫曲トンネルから北へ約6キロ、峠越えのトンネルが続く区間の南の入口にあたり、北へ約1.1キロに鮒ヶ谷トンネルがあります。
- 旧北陸線葉原トンネルの長さはどれくらいですか?
- 延長979メートル、幅員3.9メートルです。旧北陸線に残るトンネルのなかで、1,170メートルの山中トンネルに次ぐ長さです。
- 旧北陸線葉原トンネルの工事はなぜ難しかったのですか?
- 敦賀市の解説によると、固い地盤と明治28年(1895年)の水害で特に難航しました。国土交通省の資料は、圧縮空気式の米国製削岩機を使った最初期のトンネルとしています。
- 旧北陸線葉原トンネルの扁額はどこで見られますか?
- 黒田清隆が揮毫した「興國咸休」(南口)と「永世無窮」(北口)の扁額は、現在は滋賀県長浜市の長浜鉄道スクエアに保存されています。
- 旧北陸線葉原トンネルは通り抜けられますか?料金はかかりますか?
- 旧線跡の道路の一部として、車でも徒歩でも通り抜けられます。料金や受付はありません。長い1車線のトンネルなので、歩く場合は懐中電灯を用意し、車に注意してください。
基本情報
| 名称 | 旧北陸線葉原トンネル |
|---|---|
| 所在地 | 福井県敦賀市葉原 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2016年(平成28年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 延長979m、幅員3.9m |
| 所有者 | 敦賀市 |
| 公開状況 | 道路の一部として通行可(料金・受付なし) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「旧北陸線葉原トンネル」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010952
- 文化遺産オンライン「旧北陸線葉原トンネル」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/287843
- 日本遺産ポータルサイト 構成文化財「葉原トンネル」
- https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/4963/
- 国土交通省 明治期のインフラ「葉原トンネル」
- https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/infratourism/assets/pdf/meiji/kinki076.pdf
- 文化庁 国指定文化財等データベース「旧北陸線鮒ヶ谷トンネル」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010953
- 敦賀市「国・県指定文化財一覧」
- https://www.city.tsuruga.lg.jp/page/4435.html
最終更新日: 2026.10.07