浄土寺の表門となる南北朝時代の四脚門

浄土寺山門は、広島県尾道市東久保町の浄土寺の南正面に建つ南北朝時代(14世紀)の四脚門で、昭和28年(1953年)11月14日に重要文化財に指定された。

浄土寺山門は四脚門、切妻造、本瓦葺で、左右の袖に小さなくぐり戸(潜)を付ける。文化庁のデータベースは年代を「室町前期」とし、西暦の幅を1333年から1392年とする。広島県教育委員会の解説は、浄土寺の表門として南北朝時代に再建されたすぐれた建築と位置づけている。

浄土寺の縁起によれば、正中2年(1325年)に諸堂が焼けたのち、尾道の道蓮・道性夫妻が金堂・山門・多宝塔・阿弥陀堂などを相次いで再建した。浄土寺山門もこの再建の流れのなかにある建物で、門をくぐった正面、北の奥に本堂が建つ。

指定にはのちに棟札が附として加えられた。文化庁データベースの追加年月日は平成6年(1994年)7月12日である。

本堂と同じ「規矩」をもつ門

浄土寺山門の価値を考えるうえで鍵になるのは、正面の本堂との関係である。広島県教育委員会は、浄土寺山門の軒の規矩が本堂向拝の軒の規矩と同じであることを指摘し、本堂と同じ工匠の手になったのではないか、少なくとも建てた時期にあまり差がないことを示すと述べている。

規矩(きく)は、垂木の割り付けや軒の出、反りを決める設計の決まりごとである。軒は建物の印象を左右する部分で、ここが一致するということは、門と本堂が同じ設計の考え方で組まれたことを意味する。本堂は棟札から嘉暦2年(1327年)、大工藤原友国・同国貞の建築と分かっているので、浄土寺山門もそれに近い時期、近い作り手のものと考えられている。

もう1つの手がかりは紋である。側面の妻の部分にある板蟇股には、足利氏の家紋「二引両」が表されている。建武3年(1336年)に足利尊氏が浄土寺で戦勝を祈ったことはよく知られており、門の意匠にもその関係が刻まれている。

浄土寺山門の見どころ

最初に見るべきは側面である。浄土寺山門を正面から見ると切妻の屋根の軒先しか目に入らないが、東西どちらかの脇へまわると、妻の三角形の部分に板蟇股が現れる。そこに刻まれた2本の横線が「二引両」で、足利家の紋である。

次に、門の下に立って軒を見上げる。垂木の並びと軒の反りを目に入れてから、正面の本堂の向拝へ歩いていき、同じように見上げてみたい。広島県教育委員会が同じ規矩だと指摘する2つの軒を、数十歩のうちに見比べられる。

本柱の前後に控柱を2本ずつ立てる四脚門の構成は、門の真下から見ると分かりやすい。左右の袖に付く潜も、浄土寺山門の形式の一部として記録されている。

浄土寺山門の見学方法

浄土寺山門は浄土寺の入口そのもので、境内に入る人は誰でもこの門をくぐる。見学は自由で、料金はかからない。

内部をもつ建物ではないので、公開の有無を気にする必要はない。側面の二引両を見るには、門の脇へまわれる時間の余裕をとっておきたい。境内への行き方と拝観の全体は浄土寺のページにまとめてある。

Q&A

Q浄土寺山門はいつの建物ですか?
A南北朝時代(14世紀)の再建です。文化庁データベースは年代を室町前期、1333年から1392年の間としています。
Q浄土寺山門に足利氏の紋があるのは本当ですか?
Aはい。側面の妻の部分にある板蟇股に、足利氏の家紋「二引両」が表されています。門の脇へまわると見えます。
Q浄土寺山門は本堂と同じ大工が建てたのですか?
A確証はありませんが、広島県教育委員会は、山門の軒の規矩が本堂向拝と同じであることから、同じ工匠の手になった可能性を指摘しています。
Q浄土寺山門の見学に料金はかかりますか?
Aかかりません。浄土寺山門は境内の入口で、自由にくぐって見学できます。
Q浄土寺山門はどのような形式の門ですか?
A四脚門、切妻造、本瓦葺で、左右の袖に潜(くぐり戸)が付きます。本柱の前後に控柱を立てる形式です。

基本情報

名称浄土寺山門(じょうどじさんもん)
所在地広島県尾道市東久保町
指定区分重要文化財(建造物)
指定年昭和28年(1953年)11月14日
員数1棟(附 棟札)
寸法四脚門、切妻造、本瓦葺、両袖潜付
所有者浄土寺
公開状況境内の入口にあり、見学自由(無料)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 浄土寺山門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3129
文化遺産オンライン 浄土寺山門
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/187276
広島県教育委員会 広島県の文化財(尾道市)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/655404.pdf
大本山 浄土寺 浄土寺の縁起
https://ermjp.com/j/temple/histry/engi.htm

最終更新日: 2026.09.27