かめびし十一号蔵

十号蔵の北方、敷地東辺に沿って南北棟で建つのが十一号蔵である。桁行9.8メートル、梁間5.2メートルの切妻造・本瓦葺の平屋建て。岡田家の記録に残る文化4年(1807年)5月上棟の「二の倉」に比定されており、かめびし創業期の歴史を伝える醤油蔵の一つである。

江戸時代の最盛期、引田には10軒ほどの醤油屋や酒蔵があったと伝わるが、現存するのは宝暦3年(1753年)に岡田家が創業したかめびし屋のみである。18代目を数える現在も、筵の上で麹をつくる製法を守り続けている。

桁行9.8メートル、梁間5.2メートルの切妻造・本瓦葺の平屋。規模は控えめだが、岡田家の古い記録と結びつく点で重要な一棟である。記録にある文化4年(1807年)5月上棟の「二の倉」がこの蔵にあたると考えられている。

指定の理由と価値

宝暦3年(1753年)の創業からおよそ半世紀後、文化4年(1807年)に上棟したと伝わる。同じく創業期に遡る十四号蔵とともに、かめびしの草創の時代を今に残す貴重な蔵である。年代の裏づけが家の記録という一次史料に基づいている点も、この蔵の価値を支えている。

筵の上での麹づくりは手間と時間がかかり、それゆえ大半の蔵が機械化した。かめびしは古い方法を守り、麹菌をつけた大豆と小麦を筵に広げておよそ3日間寝かせる。筵が水分と熱を釣り合わせ、麹は均一に育っていく。

見どころ

灰色の瓦の下に続くべんがら色の壁が、かめびしの敷地を特徴づける。道路の両側の建物に及ぶこの塗りが、敷地全体を一続きの街並みとしてまとめており、引田のなかでも他に例を見ない。

外観は東辺に並ぶ他の蔵とよく似ているが、この蔵は文化4年(1807年)という創業期の年代をもつ。すぐ北に接する十二号蔵とあわせて眺めると、時代の異なる蔵が連なって東辺の景観をつくっていることがわかる。

店舗と茶屋では、醤油・もろみ・菓子・うどんを楽しめるが、醸造所そのものは現役かつ私有の施設であり、大半の建物には立ち入れない。営業日や時間は年間を通じて、とくに仕込みの季節に変わるため、最新の情報を確かめて計画したい。

Q&A

Qかめびし十一号蔵とはどのような建物ですか。
A香川県東かがわ市引田のかめびし屋を構成する18棟のうちの一棟で、いずれも2003年に登録有形文化財となった。この建物は江戸後期(文化4年・1807年上棟と伝わる)のもので、かめびし創業期を伝える醤油蔵の一つとして使われてきた。
Qかめびしが守る「むしろ麹製法」とは何ですか。
A麹菌をつけた蒸し大豆と炒り小麦を、い草や稲わらで編んだ筵の上に広げて数日寝かせる麹づくりの製法である。筵が水分を調節し温度を均一に保つ。この製法を続けるのは日本でかめびし屋だけである。
Qこの建物の内部は見学できますか。
Aここは現役の醸造所であり民間企業の私有地であるため、この建物を含め大半の建物は内部非公開である。敷地内の別の建物にある店舗や茶屋では、醤油・もろみ・うどんを楽しめる。営業状況は季節で変わるため、訪問前に確認したい。
Qいつ、どのような理由で登録されましたか。
A2003年(平成15年)9月19日に登録有形文化財となった。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。べんがら色の壁が引田の街路景観を形づくる、かめびし屋の歴史的な建物群の一部として評価されている。

基本データ

名称かめびし十一号蔵
所在地香川県東かがわ市引田2174
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 37-0164
登録年月日2003年(平成15年)9月19日 登録
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
年代江戸後期(文化4年・1807年上棟と伝わる)
構造及び形式等木造平屋建、瓦葺、建築面積58平方メートル
員数1棟
所有者合資会社かめびし
公開状況現役の醸造所・私有地のため大半の建物は内部非公開。敷地内に店舗・茶屋あり(営業状況は季節により変動)。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003607
かめびし屋(東かがわ市観光情報サイト)
https://higashikagawa.net/sightseeing/kamebishiya
かめびし屋 公式サイト
https://kamebishi.co.jp/

最終更新日: 2026.07.02