かめびし事務室及び展示室
引田の中心的な街路に西面して建つのが、かめびしのもとの主屋である。安永9年(1780年)の建築を主体部とし、間口はおよそ19メートルに及ぶ。入母屋造・本瓦葺のつし2階建てで、北東側には釜屋が角屋状に張り出し、南方には江戸末期に座敷が増築された。
宝暦3年(1753年)に岡田家が創業したかめびし屋は、引田で270年余にわたり醤油を醸してきた。麹づくりがほぼ機械化された時代にあって、ただ一軒むしろ麹製法を守り、いまや国内で唯一この製法を続ける醸造元となっている。
通りに向かう主体部は間口約19メートルという堂々とした規模で、屋根は入母屋造の本瓦葺。二階部分は天井が低いつし2階の造りをとる。北東の釜屋は本体から角屋状に突き出し、醸造家の主屋がもっていた作業空間の名残を示す。南側の座敷は江戸末期の増築で、住居部として整えられた。
指定の理由と価値
18棟のなかでも建築面積372平方メートルと最も大きく、安永9年(1780年)という古い年代をもつ主屋である。近年は施設全体をべんがら色を基調に塗り替えて統一感のある景観をつくり、引田を代表する町並みの顔として親しまれている。
かめびしの製法の核心が、機械ではなく手編みの筵の上で麹を育てるむしろ麹製法である。筵が余分な水分を吸い、温度を平らにならすことで独特の麹が生まれ、その麹が味の源だと蔵は考えている。
見どころ
かめびしは壁の深い赤で知られる。建物はべんがら(赤茶色の顔料)で塗られ、灰色の瓦の下に赤い壁面が連続する。この蔵に特有の街路景観である。
今は事務室と展示室として使われ、店舗を兼ねる。醤油の味見や購入ができるほか、むしろ麹製法にまつわる展示に触れられる。通りに面した本瓦葺の大屋根と、べんがら色に塗られた壁面が、この一棟から敷地全体へと続いていく起点になっている。
敷地内の店舗では醤油やもろみを試して購入でき、醤油風味の菓子も並ぶ。茶屋ではうどんも供される。稼働中の醸造所であり私有地であるため、多くの建物は見学に開かれておらず、営業時間は季節で変わる。あらかじめ確認しておくとよい。
Q&A
- かめびし事務室及び展示室とはどのような建物ですか。
- 香川県東かがわ市引田のかめびし屋を構成する18棟のうちの一棟で、いずれも2003年に登録有形文化財となった。この建物は安永9年(1780年)/江戸末期増築のもので、もとの主屋。現在は事務室と展示室として使われてきた。
- かめびしが守る「むしろ麹製法」とは何ですか。
- 麹菌をつけた蒸し大豆と炒り小麦を、い草や稲わらで編んだ筵の上に広げて数日寝かせる麹づくりの製法である。筵が水分を調節し温度を均一に保つ。この製法を続けるのは日本でかめびし屋だけである。
- この建物の内部は見学できますか。
- ここは現役の醸造所であり民間企業の私有地であるため、この建物を含め大半の建物は内部非公開である。敷地内の別の建物にある店舗や茶屋では、醤油・もろみ・うどんを楽しめる。営業状況は季節で変わるため、訪問前に確認したい。
- いつ、どのような理由で登録されましたか。
- 2003年(平成15年)9月19日に登録有形文化財となった。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。べんがら色の壁が引田の街路景観を形づくる、かめびし屋の歴史的な建物群の一部として評価されている。
基本データ
| 名称 | かめびし事務室及び展示室 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県東かがわ市引田2174 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 37-0157 |
| 登録年月日 | 2003年(平成15年)9月19日 登録 |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 年代 | 安永9年(1780年)/江戸末期増築 |
| 構造及び形式等 | 木造2階一部平屋建、瓦葺、建築面積372平方メートル |
| 員数 | 1棟 |
| 所有者 | 合資会社かめびし |
| 公開状況 | 現役の醸造所・私有地のため大半の建物は内部非公開。敷地内に店舗・茶屋あり(営業状況は季節により変動)。 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003600
- かめびし屋(東かがわ市観光情報サイト)
- https://higashikagawa.net/sightseeing/kamebishiya
- かめびし屋 公式サイト
- https://kamebishi.co.jp/
最終更新日: 2026.07.02