かめびし旧四号蔵及び旧六号蔵
道路を隔てた西敷地の北辺中央に位置するのが旧六号蔵で、桁行12メートル、梁間6メートルの規模をもつ。その南方に矩折れ(かねおれ)に旧四号蔵がつながる。旧四号蔵は桁行13.4メートル、梁間6メートルの南北棟で、切妻造・本瓦葺の平屋建て。軒先を低く、屋根を長く葺き下ろすのが特徴である。
江戸時代の最盛期、引田には10軒ほどの醤油屋や酒蔵があったと伝わるが、現存するのは宝暦3年(1753年)に岡田家が創業したかめびし屋のみである。18代目を数える現在も、筵の上で麹をつくる製法を守り続けている。
旧六号蔵と旧四号蔵が直角に折れ曲がってつながる矩折れの配置で、一棟の登録として扱われる。旧四号蔵は軒先を低くとり、屋根を長く葺き下ろすことで深い軒下をつくる。現在は貯蔵倉庫として使われているが、もとは醤油醸造以外の問屋業の施設であったとみられている。
指定の理由と価値
かめびしの敷地は、主屋のある東側と、道路を挟んだ西側の二つに分かれる。西敷地の北辺を固めるこの2棟は、もと問屋の施設と考えられ、引田が港町として商いで栄えた歴史を背景にもつ。矩折れにつながる独特の平面と、低く葺き下ろす軒先が、登録の根拠となる景観上の特色である。
筵の上での麹づくりは手間と時間がかかり、それゆえ大半の蔵が機械化した。かめびしは古い方法を守り、麹菌をつけた大豆と小麦を筵に広げておよそ3日間寝かせる。筵が水分と熱を釣り合わせ、麹は均一に育っていく。
見どころ
灰色の瓦の下に続くべんがら色の壁が、かめびしの敷地を特徴づける。道路の両側の建物に及ぶこの塗りが、敷地全体を一続きの街並みとしてまとめており、引田のなかでも他に例を見ない。
2棟がL字に折れてつながる矩折れの形を、外から確かめたい。旧四号蔵の低く長く伸びる軒先は、深い影をつくって独特の表情を生む。道路の東西に分かれたかめびしの敷地のうち、西敷地を歩くときの起点になる建物である。
店舗と茶屋では、醤油・もろみ・菓子・うどんを楽しめるが、醸造所そのものは現役かつ私有の施設であり、大半の建物には立ち入れない。営業日や時間は年間を通じて、とくに仕込みの季節に変わるため、最新の情報を確かめて計画したい。
Q&A
- かめびし旧四号蔵及び旧六号蔵とはどのような建物ですか。
- 香川県東かがわ市引田のかめびし屋を構成する18棟のうちの一棟で、いずれも2003年に登録有形文化財となった。この建物は明治初期/大正末期増改造のもので、矩折れにつながる2棟一体の貯蔵倉庫。もと問屋施設かとして使われてきた。
- かめびしが守る「むしろ麹製法」とは何ですか。
- 麹菌をつけた蒸し大豆と炒り小麦を、い草や稲わらで編んだ筵の上に広げて数日寝かせる麹づくりの製法である。筵が水分を調節し温度を均一に保つ。この製法を続けるのは日本でかめびし屋だけである。
- この建物はどこにあり、他の蔵とどう関係しますか。
- 道路を隔てた西敷地(引田2132番地)に建つ。かめびしの敷地は道路で東西二つに分かれ、東敷地に仕込みや麹づくりが集まり、西敷地に諸味の貯蔵や圧搾の多くが置かれている。
- いつ、どのような理由で登録されましたか。
- 2003年(平成15年)9月19日に登録有形文化財となった。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。べんがら色の壁が引田の街路景観を形づくる、かめびし屋の歴史的な建物群の一部として評価されている。
基本データ
| 名称 | かめびし旧四号蔵及び旧六号蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県東かがわ市引田2132 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 37-0172 |
| 登録年月日 | 2003年(平成15年)9月19日 登録 |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 年代 | 明治初期/大正末期増改造 |
| 構造及び形式等 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積153平方メートル |
| 員数 | 1棟 |
| 所有者 | 合資会社かめびし |
| 公開状況 | 現役の醸造所・私有地のため大半の建物は内部非公開。敷地内に店舗・茶屋あり(営業状況は季節により変動)。 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003615
- かめびし屋(東かがわ市観光情報サイト)
- https://higashikagawa.net/sightseeing/kamebishiya
- かめびし屋 公式サイト
- https://kamebishi.co.jp/
最終更新日: 2026.07.02