六角平面の経蔵という珍しい形

本願寺四日市別院経蔵は、大分県宇佐市四日市にある浄土真宗本願寺派の別院の経蔵で、明治18年(1885年)に建てられ、平成28年(2016年)に国の登録有形文化財となった。

本堂の南に、東を向いて建つ。建築面積30平方メートルの土蔵造平屋建で、平面は六角形。階段状に積んだ石の基壇に載り、屋根は宝形造本瓦葺、頂部に宝珠を据える。正面には唐破風の玄関を張り出す。

経蔵は経典を納める蔵で、方形や矩形の平面をとるのが普通である。六角形の経蔵は例が少なく、文化庁の解説も本願寺四日市別院経蔵を六角円堂の経蔵として貴重と記す。

六角の外側に八角の中身

内部には八角の輪蔵を据える。輪蔵は経典を納めた書架を回転させる仕掛けで、一回転させることが経典を読んだことに当たるとされてきた。

ここで面白いのは、外形が六角、中身が八角と、角の数が食い違っている点である。建物の壁と輪蔵の面はどこでも揃わない。狭い堂内で輪蔵を回すには十分な内接円が要る一方、外形は六角で通したかった、という優先順位が読み取れる。本願寺四日市別院経蔵は、その二つの要求を30平方メートルのなかで折り合わせている。

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

角が変わるたびに表情が変わる

六角の建物は、正面が一つに定まらない。歩けば1面ずつ壁が入れ替わり、そのたびに屋根の稜線の見え方も変わる。本願寺四日市別院経蔵の周りを一周すると、同じ建物とは思えないほど姿が動く。

外壁は軒裏まで漆喰で塗り込めるが、柱や長押の形を面に出してあるため、白い壁に細い線が走る。この線が角で折れる様子は、真横よりも斜め45度あたりから見たときにいちばんよく分かる。

正面の唐破風玄関は、六角形の一面だけを外へ突き出させた格好になる。屋根の曲線と六角の直線が取り合う部分は、近づいて見る価値がある。

本願寺四日市別院経蔵の見学

本願寺四日市別院経蔵は本堂の南に建ち、外観は境内から自由に見られる。六角形なので、建物の周囲を回れる範囲でぐるりと歩くと形が把握しやすい。

堂内は非公開で、八角輪蔵を見ることはできない。内部の公開予定については寺に確認してほしい。撮影は外観であれば制限はない。

境内全体の拝観条件と交通は、本願寺四日市別院の案内を参照してほしい。

よくある質問

Q本願寺四日市別院経蔵はいつ建てられましたか。
A明治18年(1885年)の建立です。
Q本願寺四日市別院経蔵はなぜ六角形なのですか。
A経蔵としては珍しい形です。文化庁の解説は六角円堂の経蔵として貴重と記していますが、六角形を選んだ理由についての記載はありません。
Q本願寺四日市別院経蔵の中には何がありますか。
A八角の輪蔵が据えられています。経典を納めた書架を回転させる仕掛けです。堂内は非公開のため見ることはできません。
Q本願寺四日市別院経蔵の内部は公開されていますか。
A非公開です。公開の予定については寺に確認してください。外観は境内から自由に見られます。
Q本願寺四日市別院経蔵の屋根はどのような形式ですか。
A宝形造の本瓦葺で、頂部に宝珠を据えています。正面には唐破風の玄関が張り出します。

基本データ

名称本願寺四日市別院経蔵
所在地大分県宇佐市四日市1410-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成28年(2016年)2月25日登録
員数1棟
寸法建築面積30平方メートル、六角形平面、輪蔵付
所有者宗教法人本願寺四日市別院
公開状況境内から外観の見学可。内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 本願寺四日市別院経蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011020
宇佐市 指定等文化財一覧
https://www.city.usa.oita.jp/sougo/soshiki/18/shakaikyoiku/3/bunkazai/2149.html
宇佐市 東本願寺・西本願寺四日市別院
https://www.city.usa.oita.jp/tourist/touristspot/touristspot2/touristspot3/10183.html
大分県 国指定・選定等文化財一覧
https://www.pref.oita.jp/kyoiku/tmp/bunka/post-101/1.pdf

最終更新日: 2026.09.13