境内の東と北をめぐる土塀と石垣

実際寺外塀及び石垣は、岡山県倉敷市中島にある真言宗寺院・実際寺の境内の東辺から北辺をめぐる土塀と石垣で、明治中期(1883〜1897年)に整えられ、令和元年(2019年)12月5日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。

外塀は木造の瓦葺で延長61メートル、石垣は石造で延長71メートル。塀と石垣を合わせて1件として登録されている。岡山県の資料によると、境内の東辺と北辺はどちらも道路との境にあたり、実際寺外塀及び石垣はその境を固めている。

倉敷市の文化財保護課は実際寺を「石垣で築いた方形の寺地」と説明している。その方形の輪郭のうち、道路に面した2辺を形にしているのがこの塀と石垣である。

境内の外周を整える施設としての登録

実際寺外塀及び石垣の登録番号は33-0335、第94回登録で、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、これを「境内の外周を整える施設」と位置づけている。

塀や石垣は、堂や門にくらべて見過ごされやすい。しかし寺の外から見たとき、まず目に入るのは建物ではなく境界である。道を歩く人にとって、実際寺の姿は瓦をのせた白い土塀と、その下の石積みの連なりとして現れる。登録は、この外側からの景観を評価したものといえる。

実際寺では同じ日に6件が登録されている。明治中期の実際寺外塀及び石垣は、そのなかでいちばん新しい。慶安2年(1649年)の本堂から数えると、境内の外周が今の形に整ったのは、寺の歴史のかなり後の段階だったことになる。

塀の高さと石の積み方が途中で変わる

実際寺外塀及び石垣は、一続きに見えて、場所によって作りが違う。文化庁の解説に沿って、南から北、東から西へたどってみる。

外塀は、境内の東辺にある納屋の北東の角から始まる。ここから北へ延びる区間は、腕木で持ち出した桟瓦葺の屋根を載せた土塀である。敷地の北東の隅で西へ直角に折れると、北辺では一段低い瓦葺の築地塀に変わる。塀の高さが下がる北東の角は、実際寺外塀及び石垣のなかでいちばん変化が分かりやすい場所だ。

石垣にも2つの積み方がある。東面は、形のそろわない石を目地が通らないように組む乱積。納屋の基礎部分と北辺は、石を斜めに傾けて落とし込むように積む谷積である。同じ石垣のなかで、面によって積み方が変わっている。

延長は外塀が61メートル、石垣が71メートルで、石垣のほうが10メートル長い。石垣が納屋の基礎部分にも続いていることを考えると、塀の載らない区間の分だけ石垣が長くなっていると考えられる。

実際寺外塀及び石垣の見学

実際寺外塀及び石垣は道路に面しているので、境内に入らなくても外から見ることができる。見どころを順に追うなら、山門を出て東側の道を北へ歩き、北東の角を曲がって北辺の道を西へ進むとよい。東面の乱積、北東の角で塀の高さが変わる様子、北辺の谷積が、歩く順に現れる。

道路からの見学になるため、車の通行に気をつけたい。石垣に登ったり、塀の瓦に触れたりすることは控えること。岡山県の文化財紹介では実際寺の建物の公開状況は「外観のみ」で、撮影について寺の公式な規定は公表されていない。周囲は住宅地なので、撮影の際は近隣への配慮も忘れずに。境内への行き方は実際寺のページにまとめてある。

Q&A

Q実際寺外塀及び石垣はいつ造られ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A文化庁のデータベースは明治中期(1883〜1897年)としています。令和元年(2019年)12月5日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は33-0335です。
Q実際寺外塀及び石垣の長さはどのくらいですか?
A外塀は延長61メートル、石垣は延長71メートルです。境内の東辺から北辺にかけてめぐっています。
Q実際寺外塀及び石垣は境内に入らなくても見られますか?
Aはい。東辺と北辺は道路との境にあたるため、道路側から見ることができます。車の通行と近隣の住宅に配慮して見学してください。
Q実際寺外塀及び石垣で注目すべき点は何ですか?
A北東の角で、腕木付きの桟瓦屋根の土塀から一段低い築地塀へ変わるところです。石垣も、東面の乱積と、納屋の基礎部分および北辺の谷積で積み方が異なります。
Q実際寺外塀及び石垣はなぜ文化財として登録されたのですか?
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録されました。文化庁の解説は、境内の外周を整える施設と位置づけています。石垣で区画した方形の寺地の輪郭をつくる要素です。

基本情報

名称実際寺外塀及び石垣(じっさいじそとべいおよびいしがき)
所在地岡山県倉敷市中島字村内北町516
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 33-0335
指定年令和元年(2019年)12月5日 登録
員数1件
寸法外塀:木造、瓦葺、延長61メートル/石垣:石造、延長71メートル
所有者宗教法人実際寺
公開状況外観のみ見学可、道路側から常時見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)実際寺外塀及び石垣
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013187
岡山県「国の登録有形文化財(建造物)の登録について」答申資料(実際寺本堂、客殿、鐘楼、納屋、山門、外塀及び石垣)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/307898.pdf
岡山県 文化財紹介「実際寺本堂、客殿、鐘楼、納屋、山門、外塀及び石垣」
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/266624.pdf
倉敷市 生涯学習部文化財保護課「実際寺本堂ほか」
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/culture/art/1007596/1007597/1011206/1007792/1007812.html

最終更新日: 2026.09.24