麹室とは
麹室は、蒸した米に麹菌を繁殖させて麹をつくるための部屋である。ジェトロ大分の清酒の製造工程の解説は、製麹の工程を、麹室で蒸米に種麹をかけて麹菌を増やすものと説明している。麹菌の繁殖には一定の温度と湿度が必要なため、麹室は外気の影響を受けにくい閉じた室としてつくられる。
壁や天井を厚くして断熱し、出入口を小さくするなどの工夫が施されることが多い。酒蔵のほか、味噌や醤油をつくる蔵にも設けられる。麹はつくった後、酒母やもろみの仕込みに用いられる。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では、蔵の中の麹室の位置や、別棟として接続する形が書かれる。岐阜県養老町の玉泉堂酒造北酒蔵は、もとは仕込蔵で、二階にはもと麹室があり、別棟で蒸した米を二階で広げて温度調整を行っていたと記録される。岡山県浅口市の丸本酒造東蔵は、東西棟を並べた仕込蔵の東棟の北に旧麹室を接続する。
酒造の工程が変わり、麹室を別の用途に転用したり撤去したりした蔵も多い。記録の「もと」「旧」の語は、かつての用途を示している。現地では、窓の少ない閉じた小部屋や、壁の厚い一角が残っていれば、麹室の名残の可能性がある。
参考文献
- 清酒の製造工程|ジェトロ大分
- https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/oita/industry/brewery/seisyu.html
- 玉泉堂酒造北酒蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00009962
- 丸本酒造東蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003702
最終更新: 2026.09.26