桁行28メートル、登梁で架けた土蔵

福美人酒造四号蔵南棟は、広島県東広島市西条末広町の大黒蔵の敷地に建つ大正期(1912〜1926年)の酒蔵で、平成28年(2016年)8月1日に国の登録有形文化財に登録された。

大黒蔵の敷地の東側、南寄りに、棟を南北に向けて建つ。北に続く四号蔵北棟と二棟で四号蔵を構成する。土蔵造の2階建、切妻造で、屋根はスレート葺。桁行は28メートル、建築面積は369平方メートルである。

西面には下屋を付ける。小屋組は登梁形式で、斜めに架けた梁で屋根を支える日本の在来の架け方をとっている。

年代をめぐる二つの記録

福美人酒造四号蔵南棟の年代は、資料によってはっきり食い違う。文化庁のデータベースは大正期(1912〜1926年)とし、東広島市は北棟と同じ昭和12年(1937年)としている。

本記事はどちらかに決めず、両方を示しておく。北棟が洋式のキングポストトラス、南棟が登梁と、同じ四号蔵で小屋組が異なることは、二棟の建設時期が違う可能性を示している。一方、市の資料は四号蔵を一体の建物として扱っている。

文化庁の解説は、現在の外壁は鉄板張りだが、もとは漆喰塗りだったとみられるとしている。鉄板は後の時代に張られたものということになる。

大黒蔵は令和6年(2024年)2月21日に東広島市の文化財「西条酒蔵群」の一部に指定され、四号蔵南棟もその構成要素に数えられている。

見どころ:窓の小庇

外観の要は窓の上に付けられた小さな庇である。鉄板張りの平らな壁面に、庇が小刻みに影を落とし、単調になりがちな長い壁にリズムを与えている。文化庁の解説も、この小庇を外観上のアクセントとして挙げている。

北棟と見比べると、同じ四号蔵でありながら壁の素材も窓の構えも違う。北棟の板壁と漆喰格子に対し、南棟は鉄板の壁に小庇という組み合わせである。

見学について

福美人酒造四号蔵南棟がある大黒蔵の敷地は非公開で、会社も見学を受け付けていない。敷地に入ることも内部を見ることもできない。

外観は敷地の外から見える範囲に限られる。南北に長い建物なので、東側の道路からであれば長手の壁面を見通せる場所がある。見学ができるのは恵比寿蔵の敷地である。

Q&A

Q福美人酒造四号蔵南棟は見学できますか。
Aできません。四号蔵南棟のある大黒蔵の敷地は非公開です。外観は敷地の外から見える範囲に限られます。
Q福美人酒造四号蔵南棟はいつ建てられたのですか。
A資料によって異なります。文化庁は大正期(1912〜1926年)、東広島市は昭和12年(1937年)としています。登録有形文化財への登録は平成28年(2016年)8月1日です。
Q福美人酒造四号蔵南棟の外壁はなぜ鉄板なのですか。
A現在は鉄板を張っていますが、文化庁の解説によれば、もとは漆喰塗りだったとみられます。後の時代に覆われたものです。
Q福美人酒造四号蔵南棟の大きさはどれくらいですか。
A桁行28メートル、建築面積369平方メートルの土蔵造2階建です。
Q福美人酒造四号蔵南棟の窓にはどんな特徴がありますか。
A窓の上に小さな庇を付けています。鉄板張りの平らな壁面に影を落とし、外観のアクセントになっています。

基本情報

名称福美人酒造四号蔵南棟(ふくびじんしゅぞうよんごうぐらみなみとう)
所在地広島県東広島市西条末広町28-1
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 34-0176
指定年平成28年(2016年)8月1日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、スレート葺、建築面積369平方メートル(桁行28メートル)
所有者福美人酒造株式会社
公開状況非公開(大黒蔵の敷地は見学不可。外観は敷地の外から見える範囲)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):福美人酒造四号蔵南棟
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011183
東広島市:福美人酒造大黒蔵(史跡 西条酒蔵群)
https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkaishogaigakushu/3/11/bunkazai/town/saijo/sakaguragun/39659.html
福美人酒造株式会社:酒蔵紹介
https://www.fukubijin.co.jp/kura_info.html

最終更新日: 2026.09.24