飯田家住宅文庫蔵・隠居屋はどんな建物か
飯田家住宅文庫蔵・隠居屋は、長野県安曇野市豊科高家にある明治8年(1875年)建築の土蔵造2階建の建物で、平成17年(2005年)に国の登録有形文化財に登録された。1棟のなかに、書物や文書を納める文庫蔵と、家督を譲った家族が暮らす隠居所をあわせ持つ。
主屋の東、敷地の東辺に南北に長く建つ。桁行6間半、梁間3間で、南側の2間半を隠居所に充て、その南東の角に上雪隠がつく。建築面積は96平方メートル、登録番号は20-0237である。
明治初期に増築を受けているが、どの部分が増築にあたるかは文化庁の解説に記されていない。
蔵と住まいを1棟に収めた構成
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。飯田家住宅文庫蔵・隠居屋は敷地の東の縁に沿って建ち、屋敷の東側の輪郭をつくる。南東の庭園を囲む塀は、この建物の南東の隅まで延びて終わっている。
文化庁は塀の解説のなかで、この建物を「隠居蔵」と呼んでいる。蔵でありながら隠居の住まいでもあるという性格が、呼び名にそのまま表れている。
隠居所を独立した家として建てず、土蔵造の蔵の一部に組み込んだ点が、この建物のいちばんの特徴である。火に強い厚い土壁が、家の文書を守る空間と、家督を譲った家族の居室を同じように包んでいる。
見どころ
外壁の足もとに目を向けたい。白い漆喰の壁の腰は海鼠壁で、目地が亀の甲羅のような六角形の模様をつくる亀甲形に仕上げてある。屋敷のほかの蔵にも海鼠壁はあるが、文化庁の解説が亀甲形と明記しているのはこの建物だけである。
屋根は置屋根で、土蔵の本体の上に別に組んだ屋根を載せ、切妻造の桟瓦葺とする。軒裏まで漆喰で塗り込め、西側には瓦葺の庇がつく。
南の端、隠居所の南東角につく上雪隠も見落とせない。上雪隠は、一般に主人や客のために設けた格の高い便所をいう。飯田家住宅文庫蔵・隠居屋の隠居所が、その設備まで備えた独立の住まいとして整えられていたことがうかがえる。
飯田家住宅文庫蔵・隠居屋の見学方法
個人の住宅の敷地内にあり、内部は公開されていない。
飯田家住宅文庫蔵・隠居屋は敷地の東辺に建つので、外観をうかがうなら屋敷の東側からになる。撮影は道路から写せる範囲にとどめたい。
屋敷全体への行き方と見学の心得は、飯田家住宅のページを参照してほしい。
Q&A
- 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋はいつ建てられましたか?
- 文化庁の登録原簿では明治8年(1875年)の建築で、明治初期に増築されています。
- 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋の「隠居屋」とは何ですか?
- 家督を譲った家族が暮らす住まいのことです。この建物では南側の2間半が隠居所で、南東の角に上雪隠がついています。
- 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋の外壁にはどんな特徴がありますか?
- 白漆喰塗の壁で、腰を亀甲形の海鼠壁とします。軒裏も漆喰で塗り込めています。
- 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋はどのくらいの大きさですか?
- 桁行6間半、梁間3間の土蔵造2階建で、建築面積は96平方メートルです。
- 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋は見学できますか?
- 個人の住宅の敷地内にあるため公開されていません。外観を道路から見られる範囲に限られます。
基本データ
| 名称 | 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋 |
|---|---|
| 所在地 | 長野県安曇野市豊科高家604-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成17年(2005年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積96平方メートル |
| 所有者 | 個人 |
| 公開状況 | 個人の住宅の敷地内にあり非公開。外観は道路から |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)飯田家住宅文庫蔵・隠居屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005169
- 国指定文化財等データベース(文化庁)飯田家住宅塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005181
- 八十二文化財団 信州の文化財 飯田家住宅文庫蔵・隠居屋
- https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=5839
- 安曇野市 文化財一覧
- https://www.city.azumino.nagano.jp/site/kyoiku/10156.html
最終更新日: 2026.09.22