當麻奥院は桃山時代から江戸時代前期の3棟がそろう當麻寺の塔頭
當麻奥院は、奈良県葛城市當麻にある當麻寺の塔頭で、慶長9年(1604年)から正保4年(1647年)にかけて建てられた本堂・方丈・鐘楼門の3棟が、平成元年(1989年)に国の重要文化財に指定された。読みは「たいまおくのいん」。境内のいちばん西、二上山寄りにあり、浄土宗の寺である。
文化庁の解説によると、當麻奥院は古くは往生院と称し、京都の知恩院の奥院であった。奈良県の観光公式サイトは、知恩院第12代の誓阿普観が、知恩院に安置されていた法然上人像を後光厳天皇の勅許を得てこの地に移し、応安3年(1370年)に建立したと伝える。真言宗の寺だった當麻寺に浄土宗が加わったのは、この往生院の創建がきっかけだった。
當麻奥院本堂:法然上人像を祀る御影堂
當麻奥院の本堂は慶長9年(1604年)の建立で、桁行7間、梁間5間、一重の寄棟造、正面に3間の向拝を付け、屋根は本瓦葺である。本尊に法然上人の坐像を祀るため、御影堂とも呼ばれる。
文化庁は、正面の柱間が7間ある木柄の太い建物で、軒の低い奈良らしい伝統的な形をよく留めていると評価している。桃山時代の建物でありながら、派手さよりも、軒を低く抑えた落ち着いた姿が目に残る。建立を示す棟札1枚もあわせて指定されている。
當麻奥院方丈:六室の書院造と牡丹の天井
當麻奥院の方丈は慶長17年(1612年)の建立で、桁行12.0メートル、梁間9.0メートル、一重の寄棟造である。屋根は本瓦葺と桟瓦葺を併用している。奥院では大方丈と呼んでいる。
文化庁によると、方丈は6室からなる書院造の建物で、比較的太い角柱が1間ごとに立ち、古い形式を示す。仏壇が撤去されるなどの改造を受けているが、柱に残る痕跡から当初の姿に復原できるという。棟札2枚もあわせて指定されている。
奈良県の観光公式サイトによると、この大方丈の仏間の天井にはぼたんの絵が描かれており、それにちなんで奥院の第57代・観誉察聞が庭にぼたんを植えたのが、奥院のぼたん園の始まりだという。のちに當麻寺のほかの僧院にもぼたんが植えられるようになった。當麻寺が花の寺と呼ばれるまでの流れを、この方丈がさかのぼらせてくれる。
當麻奥院鐘楼門:江戸時代前期の数少ない鐘楼門
當麻奥院の鐘楼門は正保4年(1647年)の建立で、1間1戸の楼門、入母屋造、本瓦葺である。楼門の上層に鐘を吊る形式で、門と鐘楼を1棟で兼ねている。
文化庁は、江戸時代前期の鐘楼門として数少ないものの一つで、釣り合いがよく保存状態もよいと記している。本堂・方丈と合わせ、桃山時代から江戸時代初めの建物がそろっていることも評価の理由になっている。3棟が四十数年のうちに順に建てられたことは、それぞれの年代からうかがえる。
當麻奥院の拝観
當麻奥院は、當麻寺の伽藍三堂とは別に入山料を納めて拝観する。奈良県の観光公式サイトによると、拝観時間は午前9時から午後5時、拝観料は大人500円、子ども250円で、宝物館の入場料を含む(2026年9月確認)。特別公開の期間は料金が変わることがある。
本堂の本尊・法然上人坐像は、ふだんは公開されていない。同サイトによると、法然上人の命日法要「御忌会」の2月24日に年1度だけ特別公開される。大方丈も通常は公開されず、秋に上村淳之による襖絵「花鳥浄土」とあわせた特別公開が行われる。2026年は11月16日から30日までの予定である。
鐘楼門と本堂の外観は、入山すれば間近に見られる。奥院の裏手にある駐車場は奥院の参拝者専用で、そこから無料で當麻寺の伽藍へ入ることはできない。堂内の撮影可否は受付で確かめたい。當麻寺全体への行き方は當麻寺のページにまとめてある。
Q&A
- 當麻奥院の重要文化財は何ですか?
- 本堂(慶長9年・1604年)、方丈(慶長17年・1612年)、鐘楼門(正保4年・1647年)の3棟で、平成元年(1989年)に重要文化財に指定されました。
- 當麻奥院の拝観料と拝観時間は?
- 奈良県の観光公式サイトによると、午前9時から午後5時、大人500円、子ども250円で、宝物館の入場料を含みます(2026年9月確認)。當麻寺の伽藍三堂とは別料金です。
- 當麻奥院の本堂には何が祀られていますか?
- 法然上人の坐像が本尊で、そのため本堂は御影堂とも呼ばれます。像は通常非公開で、2月24日の御忌会に年1度特別公開されます。
- 當麻奥院はどのような寺ですか?
- 當麻寺の塔頭の一つで、古くは往生院と称し、京都の知恩院の奥院でした。浄土宗の寺で、境内の最も西、二上山寄りにあります。
- 當麻奥院の大方丈は見学できますか?
- 通常は公開されていません。秋に上村淳之の襖絵「花鳥浄土」とあわせた特別公開があり、2026年は11月16日から30日までの予定です。
基本情報
| 名称 | 當麻奥院(本堂・方丈・鐘楼門) |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県葛城市當麻 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 平成元年(1989年) |
| 員数 | 3棟 |
| 寸法 | 本堂:桁行7間、梁間5間、向拝3間/方丈:桁行12.0メートル、梁間9.0メートル/鐘楼門:1間1戸楼門 |
| 所有者 | 奥院 |
| 公開状況 | 入山拝観(午前9時〜午後5時、大人500円・宝物館を含む)。本尊と大方丈は特別公開時のみ |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):當麻奥院 本堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2787
- 国指定文化財等データベース(文化庁):當麻奥院 方丈
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2788
- 国指定文化財等データベース(文化庁):當麻奥院 鐘楼門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2789
- あをによし なら旅ネット(奈良県観光公式サイト):當麻寺奥院
- https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/02west_area/taimadera-okunoin/
- 葛城市:當麻寺
- https://www.city.katsuragi.nara.jp/soshiki/shokokankoka/kankou/spot/6/3/2161.html
- 當麻寺中之坊:アクセス(乗用車)
- https://taimadera.org/access/p2.html
最終更新日: 2026.09.30
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