火走神社摂社幸神社本殿とは

火走神社摂社幸神社本殿は、大阪府泉佐野市大木の火走神社境内に建つ室町時代後期の一間社春日造の社殿で、平成5年(1993年)8月17日に国の重要文化財に指定された(文化庁)。読みは「ひばしりじんじゃせっしゃみゆきじんじゃほんでん」で、社名の「幸」は「みゆき」と読む。

文化庁の国指定文化財等データベースは、年代を室町後期(1467〜1572年)、構造形式を一間社春日造・銅板葺、員数を1棟と記録している。所有者は火走神社である。

火走神社は『延喜式』神名帳に名の見える古社で、中世には滝宮(滝大明神)と呼ばれ、日根荘入山田の4か村の鎮守(総社)だった(文化庁 日本遺産ポータル、泉佐野市文化財課)。祭神は火を司るとされる軻遇突智神(かぐつちのかみ)で、かつて神職が燃える火の上を走る祭事があったことが社名の起こりと伝わる(大阪観光局)。幸神社は、この火走神社に付属する摂社である。

三殿のうち右に建つ摂社

社殿は3棟が横一列に並ぶ。泉佐野市文化財課の解説では、拝殿から見て中央が火走神社本殿、左が摂社春日神社、右が摂社幸神社の本殿である(文化庁 日本遺産ポータル)。

中央の火走神社本殿は、擬宝珠柱の銘から元和8年(1622年)の建立とされ、泉佐野市の指定有形文化財になっている(同)。主祭神の本殿よりも、右隣の小さな幸神社本殿のほうが古い時代の建物ということになる。

境内は国の史跡「日根荘遺跡」に含まれ、幸神社本殿は日本遺産「旅引付と二枚の絵図が伝えるまち-中世日根荘の風景-」の構成文化財でもある(泉佐野市デジタルアーカイブ、泉佐野市)。

重要文化財としての価値

建立の年を直接記した棟札は、文化庁のデータベースには記録されていない。年代の手がかりになっているのは内部に残る永正5年(1508年)の墨書で、泉佐野市デジタルアーカイブはこれを内陣の宮殿にあるものとしている(文化庁 日本遺産ポータル、泉佐野市デジタルアーカイブ)。

もう一つの根拠が彫刻の様式である。木鼻や蟇股の形が室町時代の特徴を示しており、墨書とあわせて室町時代後期の建物と考えられている(同)。大阪観光局も、建立年代を直接確定できる史料はないものの、様式や手法から室町時代の建物とされると説明している。

日本遺産のストーリーでは、日根荘入山田村の総社である火走神社の摂社として、室町後期に造営された社殿が今も受け継がれている点に位置づけが置かれている(文化庁 日本遺産ポータル)。中世荘園の総社に付属する小社殿が、中世の形式のまま境内に残っていることになる。

見どころ

一間社春日造は、正面1間の妻入の身舎の前に向拝を付けた、小ぶりな社殿の形式である。泉佐野市デジタルアーカイブが記録する高さは4.114メートルで、屋根は銅板で葺かれている(文化庁)。

目を留めたいのは、向拝まわりの木鼻と蟇股だ。年代判定の根拠にもなった部分で、彫りの形に室町時代の意匠が表れている。

3棟を見比べるのも面白い。中央の火走神社本殿は元和8年(1622年)、右の幸神社本殿は永正5年(1508年)の墨書をもち、同じ春日造の社殿が100年あまりの時代差をもって並んでいる。

令和元年(2019年)10月には、文化財建造物保存技術協会の編集による『重要文化財火走神社摂社幸神社本殿保存修理工事報告書』が火走神社から刊行されている(国立国会図書館)。近年に保存修理を終えた社殿である。

見学について

大阪観光局によれば、JR日根野駅または南海泉佐野駅から犬鳴山行きのバスに乗り、「中大木」で降りるとすぐである。駐車場はあるが、普通車で訪れる場合は事前に確認するよう案内されている。問い合わせ先の電話番号は072-459-7511。

火走神社摂社幸神社本殿は三殿の右に建ち、参拝は拝殿の側から行う形になる。社殿のそばまで近づけるか、社殿内部の公開、撮影の可否について、公的な案内は確認できなかった。拝観料の案内も見当たらないので、詳しくは神社に問い合わせておくと確実である。

Q&A

Q火走神社摂社幸神社本殿はいつ建てられましたか?
A室町時代後期とされます。内部に永正5年(1508年)の墨書が残り、木鼻や蟇股の様式も室町時代の特徴を示します(文化庁 日本遺産ポータル)。
Q火走神社摂社幸神社本殿はどこにありますか?行き方は?
A大阪府泉佐野市大木の火走神社境内にあります。JR日根野駅または南海泉佐野駅から犬鳴山行きのバスで「中大木」下車すぐです(大阪観光局)。
Q火走神社摂社幸神社本殿は見学できますか?撮影はできますか?
A火走神社の境内は参拝でき、幸神社本殿は拝殿から見て三殿の右に建ちます。社殿内部の公開や撮影の可否について公的な案内は確認できませんでした。
Q火走神社の「幸神社」は何と読みますか?
A「みゆきじんじゃ」と読みます(文化庁)。
Q火走神社摂社幸神社本殿が重要文化財に指定されたのはいつですか?
A平成5年(1993年)8月17日です(文化庁)。

基本情報

名称火走神社摂社幸神社本殿(ひばしりじんじゃせっしゃみゆきじんじゃほんでん)
所在地大阪府泉佐野市大木1534(火走神社境内)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年平成5年(1993年)8月17日指定
員数1棟
寸法一間社春日造、銅板葺。高さ4.114m
所有者火走神社
公開状況境内は参拝可(社殿内部の公開情報なし)

参考文献

火走神社摂社幸神社本殿(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/2179
火走神社摂社幸神社本殿(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/186326
火走神社摂社幸神社本殿(日本遺産ポータルサイト、文化庁)
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/4370/
火走神社(日本遺産ポータルサイト、文化庁)
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/5293/
火走神社 摂社幸神社本殿(泉佐野市デジタルアーカイブ)
https://adeac.jp/izumisano-city/catalog/b000050
大木地区の概況(泉佐野市)
https://www.city.izumisano.lg.jp/material/files/group/45/3chikunogaiyou.pdf
重要文化財火走神社摂社幸神社本殿保存修理工事報告書(国立国会図書館サーチ)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/en/books/R100000002-I031453436
火走神社(大阪観光局 OSAKA-INFO)
https://osaka-info.jp/spot/hibashirijinja/

最終更新日: 2026.10.28