児玉家住宅蚕室はどんな建物か
児玉家住宅蚕室は、長野県東御市大字和にある明治43年(1910年)頃の木造2階建の養蚕施設で、平成12年(2000年)に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は20-0079である。
主屋の背後、北東の一段高い場所に東西に棟を向けて建つ。桁行9間、梁行4間、建築面積は145平方メートル。屋根は桟瓦葺の切妻造で、主屋と同じく越屋根を載せる。
1階は土間、2階に3間×4間の蚕室を3室とる。南面の2階には刎ね出しのベランダが付く。人が住むための建物ではなく、蚕を飼うためだけに組まれた構造である。
なぜ登録されたのか
登録基準は主屋と同じ「造形の規範となっているもの」で、12件のうちこの2件だけがこの基準で登録されている。文化庁の解説は、養蚕最盛期の養蚕農家の屋敷構えを伝えるものとして貴重と評価する。
蚕室単体が残る例は各地にあるが、主屋・長屋・乾燥室・馬屋と一体の屋敷として残っている点がこの建物の位置づけを決めている。蚕を飼う場所と、暮らす場所と、収穫物を扱う場所が、一つの敷地の中で役割を分けたまま揃っている。
見どころ
南面2階のベランダは眺めのための設備ではない。桑を運び入れ、室内に風を通すための開口である。刎ね出した床が庇の役をして、雨のときも2階の建具を開けておける。
越屋根を下から見上げると、2階の天井付近に空気の抜け道が用意されているのが分かる。主屋の越屋根と並べて見ると、同じ発想で屋根が組まれた2棟だと読める。
屋敷の所有者は近年この蚕室をワインの貯蔵に使っており、2016年には自家の畑のメルローを用いたワインを世に出している。蚕を飼わなくなった建物が、厚い壁と安定した温度という性質を別の用途に生かしている。
児玉家住宅蚕室の見学方法
蚕室は住まいの敷地の奥にあり、内部は公開されていない。屋敷内のカフェの営業日に見学の案内があり、そのときに外観を間近で見られる。貯蔵に使われている室内に入れるかどうかは、その日の状況による。
外から見るなら、主屋の東側から屋敷の奥へ視線を送る位置がよい。主屋より高い場所に建つため、屋根と越屋根の重なりが一度に目に入る。
屋敷への行き方と見学条件は児玉家住宅のページにまとめている。
Q&A
- 児玉家住宅蚕室はいつ建てられましたか?
- 文化庁の登録原簿は明治43年(1910年)頃としています。屋敷の完成式が行われた年にあたり、12件のなかでは遅い時期の建物です。
- 児玉家住宅蚕室の内部は見学できますか?
- 内部は公開されていません。屋敷内のカフェの営業日に見学の案内があり、外観は近くから見ることができます。
- 児玉家住宅蚕室はどのくらいの大きさですか?
- 桁行9間、梁行4間、建築面積145平方メートルの総2階建です。2階には3間×4間の蚕室が3室あります。
- 児玉家住宅蚕室はなぜ登録有形文化財なのですか?
- 登録基準は「造形の規範となっているもの」で、養蚕最盛期の養蚕農家の屋敷構えを伝える建物として評価されています。
- 児玉家住宅蚕室は今どう使われていますか?
- 近年はワインの貯蔵に使われており、屋敷の所有者は2016年に自家の畑のメルローによるワインを世に出しています。
基本データ
| 名称 | 児玉家住宅蚕室 |
|---|---|
| 所在地 | 長野県東御市大字和7785 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成12年(2000年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積145平方メートル |
| 所有者 | 有限会社ヤマタマ |
| 公開状況 | 住まいの敷地内にあり内部は非公開。案内時のみ |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)児玉家住宅蚕室
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001814
- 東御市 児玉家住宅
- https://www.city.tomi.nagano.jp/category/kenzobutsu/160195.html
最終更新日: 2026.09.17