東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)はお水取りの井戸を覆う鎌倉時代の建物

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)は、奈良県奈良市雑司町の東大寺二月堂のすぐ下に建つ鎌倉時代後期の井戸屋形で、明治36年(1903年)に重要文化財に指定された。読みは「にがつどうあかいや(わかさいや)」。

閼伽は仏に供える水のことで、東大寺二月堂閼伽井屋はその水を汲む井戸「若狭井(わかさい)」を覆う建物である。寺によると、二月堂の修二会のさなか、3月12日の深夜(13日の午前1時半ごろ)に、この若狭井から観音に供える「お香水」を汲み上げる儀式が行われる。これが「お水取り」であり、修二会全体の通称にもなった。

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)の建物

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)は、桁行3間・梁間2間の一重の建物で、屋根は切妻造、本瓦葺である。文化庁のデータベースは年代を鎌倉時代後期(1275〜1332年)とする。

二月堂そのものは寛文7年(1667年)の修二会中の火災で焼け、2年後に再建された。東大寺二月堂閼伽井屋はその火災を免れ、二月堂よりも古い鎌倉時代の建物として残っている。お水取りの儀式が営まれる場が、少なくとも鎌倉時代から同じ建物で守られてきたことになる。

若狭井の名と小浜の「お水送り」

井戸の名の「若狭」は、現在の福井県南西部にあたる若狭国を指す。福井県小浜市の観光協会によると、修二会を始めた実忠が日本中の神々を勧請したとき、魚釣りに夢中で遅れた若狭の遠敷明神が、お詫びに二月堂のほとりに清水を湧き出させて観音に奉ったという伝承がある。

小浜市の神宮寺では今も毎年3月2日に「お水送り」が行われ、遠敷川の鵜の瀬にお香水が注がれる。この水は東大寺二月堂閼伽井屋の若狭井に届くとされ、10日後の3月12日のお水取りで汲み上げられる。奈良と若狭を結ぶこの伝承は、井戸の名とともに今も生きている。

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)が重要文化財に指定された理由

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)は明治36年(1903年)に重要文化財に指定された(当時は古社寺保存法による)。同じ日に、二月堂の仏餉屋(御供所)や法華堂北門なども指定されている。

修二会の行法と直接結びついた井戸屋形が、鎌倉時代の建物のまま残っている例は貴重である。二月堂の周りには、仏餉屋や参籠所など修二会を支える鎌倉時代の建物がまとまって残り、閼伽井屋はその中心となる行事の舞台にあたる。

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)の見学

東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)の内部は公開されておらず、寺の参拝案内にも公開の記載はない。外観は二月堂の下の境内から料金なしで見られる。

お水取りの儀式そのものは非公開で、行われるのは深夜である。修二会の期間中は二月堂周辺が大変混み合い、寺は注意事項を公式サイトに掲げているので、訪れる前に確かめたい。境内への行き方と東大寺全体の拝観条件は東大寺のページにまとめてある。

Q&A

Q東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)は何のための建物ですか?
Aお水取りの際に観音に供える「お香水」を汲む井戸、若狭井を覆う建物です。閼伽は仏に供える水を意味します。
Q東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)でお水取りが行われるのはいつですか?
A修二会のさなかの3月12日深夜、13日の午前1時半ごろに、若狭井からお香水が汲み上げられます。
Q東大寺二月堂閼伽井屋はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースは鎌倉時代後期(1275〜1332年)としています。寛文7年(1667年)に焼けて再建された二月堂より古い建物です。
Q東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)の「若狭」の由来は?
A若狭の遠敷明神が修二会に遅れたお詫びに清水を湧かせたという伝承によります。小浜市では3月2日に「お水送り」が行われます。
Q東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)の中は見られますか?
A内部は公開されていません。外観は二月堂の下の境内から無料で見られます。

基本情報

名称東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)
所在地奈良県奈良市雑司町
指定区分重要文化財
指定年明治36年(1903年)
員数1棟
寸法桁行3間、梁間2間、一重、切妻造、本瓦葺
所有者東大寺
公開状況内部非公開。外観は境内から見学可(無料)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):東大寺二月堂閼伽井屋(若狭井屋)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2449
東大寺:修二会
https://www.todaiji.or.jp/annual/event/shunie/
東大寺:二月堂
https://www.todaiji.or.jp/information/nigatsudo/
若狭おばま観光協会:若狭に春を告げる神事 お水送り
https://wakasa-obama.jp/special/wakasa-omizuokuri/

最終更新日: 2026.10.02