東大寺転害門は創建期の姿を残す奈良時代の八脚門
東大寺転害門は、奈良県奈良市雑司町の東大寺の境内北西に建つ奈良時代(天平宝字年間ごろ)の八脚門で、昭和27年(1952年)に国宝に指定された。読みは「てがいもん」。
文化庁の解説によると、東大寺転害門は東大寺の創立とともに造営された門の一つで、寺地の西を限る築垣の北寄りに開く門だった。平城京の佐保路に面していたことから西北大門、佐保路門とも呼ばれ、のちに碾磑門、手掻門、転害門と書かれるようになった。寺は、源頼朝を討とうとした平景清が潜んだという伝説から景清門の名もあると紹介している。
二度の兵火を免れた東大寺転害門
東大寺は治承4年(1180年)と永禄10年(1567年)の兵火で伽藍の大半を失った。東大寺転害門はそのどちらでも焼けずに残り、文化庁は、創建当時のまま残る東大寺の建物は転害門と法華堂だけだとしている。寺の案内も、天平時代の東大寺の伽藍建築を想像できる唯一の遺構と位置づけている。
ただし、まったく手が加わっていないわけではない。瓦の銘から、建久年間(1190〜1199年)に大きな修理が行われたことが分かっている。このとき組物を三斗組から出組に改め、桁を1段加えて棟の高さと軒の出を大きくした。鎌倉時代の東大寺復興の時期に、奈良時代の門が少し背を伸ばしたことになる。
東大寺転害門の構造:三間一戸八脚門と二重虹梁蟇股
東大寺転害門は、正面3間のうち中央1間を通路とする三間一戸の八脚門で、屋根は切妻造、本瓦葺である。文化庁の解説は、修理で上部が改められても、三間一戸の八脚門という本来の形はそのまま残っていると述べている。
見ておきたいのは両側の妻(切妻屋根の三角形の部分)である。ここには、2段の虹梁の上に蟇股を据える「二重虹梁蟇股」の架構が見える。文化庁は、これを奈良時代に盛んに用いられた組み方として挙げている。
門の下に入ると、梁間2間のそれぞれに化粧屋根裏を見せる三棟造の天井が見える。屋根を3つ並べたような天井の起伏は、門の側面から見る外観とはまた違う表情をもつ。
東大寺転害門が国宝に指定された理由
東大寺転害門は明治32年(1899年)に古社寺保存法のもとで指定され、昭和27年(1952年)に国宝となった。文化庁は、奈良時代の八脚門として貴重であり、創建時の東大寺の数少ない遺構の一つであると評価している。
その堂々とした姿を見れば、天平の創建期の東大寺の盛大さをしのぶことができる、と文化庁の解説は結んでいる。大仏殿や南大門が再建を経た建物であるのに対し、転害門は奈良時代の東大寺の規模を直接伝える数少ない手がかりである。
東大寺転害門の見学
東大寺転害門は境内の北西の端、一条通に面して立つ。門の周りに柵や受付はなく、時間を問わず外観を見ることができ、料金もかからない。大仏殿の周辺からは少し離れているため、南大門や大仏殿を見たあとに足を延ばす形になる。
妻の二重虹梁蟇股を見るなら、門の東西どちらかの側面に回り、少し離れて見上げるとよい。通路の下からは三棟造の天井が見える。東大寺全体の拝観時間と境内への行き方は東大寺のページにまとめてある。
Q&A
- 東大寺転害門はいつ建てられましたか?
- 文化庁は奈良時代、天平宝字年間(757〜765年)ごろとしています。東大寺の創立とともに造営された門の一つです。
- 東大寺転害門は火災に遭わなかったのですか?
- 治承4年(1180年)と永禄10年(1567年)の兵火のどちらでも焼けずに残りました。建久年間(1190〜1199年)に修理を受けています。
- 東大寺転害門の名前の由来は?
- 平城京の佐保路に面していたため西北大門・佐保路門と呼ばれ、のちに碾磑門・手掻門・転害門と書かれるようになりました。平景清の伝説から景清門とも呼ばれます。
- 東大寺転害門で見ておきたい部分はどこですか?
- 両側の妻に見える二重虹梁蟇股と、通路の下の三棟造の天井です。どちらも奈良時代の建築の特徴を伝えます。
- 東大寺転害門は拝観料が必要ですか?
- いいえ。一条通に面して立つ門で、外観はいつでも無料で見られます。
基本情報
| 名称 | 東大寺転害門 |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県奈良市雑司町 |
| 指定区分 | 国宝 |
| 指定年 | 明治32年(1899年)重要文化財指定、昭和27年(1952年)国宝指定 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 三間一戸八脚門、切妻造、本瓦葺 |
| 所有者 | 東大寺 |
| 公開状況 | 外観は常時見学可、無料 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):東大寺転害門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2440
- 東大寺:転害門
- https://www.todaiji.or.jp/information/tegaimon/
- 東大寺:鎌倉再建
- https://www.todaiji.or.jp/history/kamakuraki/
- 文化遺産オンライン:古都奈良の文化財
- https://online.bunka.go.jp/special_content/hlink7
最終更新日: 2026.10.02