国宝
National Treasures都道府県、時代、種類別に日本の国宝を閲覧できます。寺院、神社、城、美術館での見どころを分かりやすく解説し、地図や旅行のヒントもご紹介します。
滋賀県大津市の園城寺に伝わる国宝で、入唐求法に赴いた円珍に関わる九世紀の古文書群。唐の役所が発給した通行許可証「過所」二通を含み、伝世する過所の実例は世界でこの二通のみ。二〇二三年にユネスコ「世界の記憶」に登録された。
比叡山延暦寺に残る国宝の古文書。最澄が八〇五年に唐から将来した経典や法具を書き上げた目録で、自筆を含み、唐の刺史鄭審則の跋と官印、遣唐使一行の署名が加わる。仏教史にも公文書史料としても貴重な一巻である。
延暦寺が所蔵する国宝。唐の役所が留学僧・最澄に発給した八〇四年の明州牒と八〇五年の台州牒を一巻にまとめた通行許可書である。最澄が自ら記した申請部分はその真筆と認められ、九世紀初頭の唐代官文書としても、日本天台宗の原点を示す資料としても貴重。
延暦寺に残る国宝の巻子。天台宗を開いた最澄自筆の六通の文書を収め、天台法華宗が年分度者の枠を得て国家に公認され、比叡山に独自の大乗戒壇を求めていった経緯を記す。最澄の筆跡を今に残す第一級の同時代資料である。
滋賀県の竹生島・宝厳寺に受け継がれた平安時代の装飾経で、法華経のうち序品にあたる一帖。素紙に金泥で界線を引き、金銀泥で鳥や蝶、宝相華などの下絵を描く。装飾経の初期を代表する国宝で、現在は奈良国立博物館に寄託される。
滋賀県長浜市の向源寺が所有する国宝・木造十一面観音立像。平安初期に檜の一木から彫り出され、腰をひねる優美な姿と後頭部の暴悪大笑面で知られる。全国に七体ある国宝十一面観音の一つに数えられる名品として名高い。
滋賀・三井寺の北院に伝わる国宝・木造新羅明神坐像。唐から帰る円珍の船にあらわれたと伝わる老翁の神を、ヒノキ一木造で彫り、彩色と截金を施す。安置する新羅善神堂は足利尊氏が再建した国宝で、像は秘仏として公開はまれ。
滋賀県大津市の園城寺(三井寺)に伝わる国宝、木造智証大師坐像(通称・中尊大師)。平安時代10世紀の作で像高84.3センチ。比叡山から正暦4年に移され、唐院大師堂に秘仏として安置される。開扉は毎年10月29日の御祥忌のみ。
三井寺(園城寺)に伝わる二体の国宝・木造智証大師坐像のうち、古い方が御骨大師である。荼毘に付した円珍の遺骨を納めるとされ、唐院の大師堂に秘仏として安置される。9世紀末、円珍没後まもない頃の作と考えられている。
滋賀県大津市の園城寺が所蔵する国宝。金剛界曼荼羅の諸尊を白描で描いた密教図像で、円珍が大中九年(八五五)に唐の長安で授かり請来した完本。全長は約十八メートルに及び、二〇二三年にはユネスコ「世界の記憶」にも登録された。
京都・六条柳町の遊里に集う十五人を金地に描いた江戸初期の風俗画。三味線・双六・恋文・画中の山水屏風に琴棋書画を見立てた構成で、国宝に指定される彦根城博物館の名宝である。作者は不詳で狩野派説が有力とされる。
鹿児島県唯一の国宝。鎌倉中期の備前の刀工・国宗が鍛えた太刀で、島津家に伝来した。終戦後に没収されて行方を絶ったが、米国の愛刀家の厚意により昭和三十八年に照国神社へ無償返還され、現在は黎明館に保管される名刀。
建長寺に伝わる国宝「絹本淡彩蘭溪道隆像」は、文永八年(1271年)の年記をもつ日本最古の頂相。日本初の禅道場を開いた渡来僧の肖像で、像主自身の自賛があり、黒目を金泥で縁取る他に類のない描法で知られる。普段は鎌倉国宝館に寄託される。
横浜・称名寺に伝わる国宝「絹本著色北条実時像」。日本最古級の武家文庫「金沢文庫」を開いた学者武士・北条実時を、鎌倉時代の似絵技法で描いた貴重な肖像画の魅力と拝観情報を解説。
鎌倉時代の袿五領と漆塗りの武具一式が、鶴岡八幡宮に一括して伝わる国宝。同時代の完形の宮廷装束は他にほとんど残らず、織りの文様まで今にとどめる稀有な遺品。年に一度、鎌倉国宝館の特別展で実物が公開される。
鎌倉・鶴岡八幡宮に伝わる国宝の古神宝類。朱漆の弓、三十隻の黒漆矢、金の沃懸地に螺鈿を施した平胡籙二腰と太刀二口からなる。武の神八幡に奉られた華麗な武具で、正月の破魔矢の起源とも伝わる鎌倉時代屈指の遺品である。
横浜・神奈川県立金沢文庫が守る国宝。北条実時の金沢文庫と菩提寺の称名寺に伝わった聖教1万6692点と文書4149通からなり、書状の裏に仏典を写した紙背文書を含む、鎌倉武家社会の実像にせまる第一級の史料群です。
鎌倉・建長寺が所蔵する国宝「大覚禅師墨蹟〈法語規則〉」は、開山・蘭渓道隆(大覚禅師)自筆の二幅の掛軸です。修行僧に参禅弁道を説く「法語」と、沐浴・食事など道場生活を細かく定めた「規則」からなり、日本最初の純粋禅道場の運営をそのまま今に伝えます。南宋の能書家・張即之の書風を受け継いだ書としても評価される、鎌倉禅を象徴する一級の名品です。
鶴岡八幡宮に伝わる国宝「太刀〈銘正恒〉」は、鎌倉時代に備中国古青江派の名工・正恒が鍛えた一振。八代将軍徳川吉宗が元文元年(1736年)の社殿造営にあたり奉納した由緒正しい太刀で、縮緬肌と呼ばれる独特の地鉄と腰反りの美しい姿が特徴です。附指定の糸巻太刀拵とともに、鎌倉国宝館にて数年に一度の特別展で公開されます。
神奈川県鎌倉市の高徳院に座す国宝・銅造阿弥陀如来坐像。像高約11.3メートル、重量約121トンの金銅仏で、『吾妻鏡』は建長4年(1252年)の鋳造開始を記す。大仏殿を失った後も露坐で残り、鎌倉でただ一つ国宝に指定された仏像である。