国宝
National Treasures都道府県、時代、種類別に日本の国宝を閲覧できます。寺院、神社、城、美術館での見どころを分かりやすく解説し、地図や旅行のヒントもご紹介します。
大正十三年、比叡山横川の如法堂跡から銅筒に納められて出土した平安時代の金銅経箱。長元四年に上東門院藤原彰子が書写した法華経を納めた品で、蓋には籠字で妙法蓮華経の五字が刻まれる。京都国立博物館蔵の国宝。
比叡山延暦寺に伝わる国宝・七条刺納袈裟は、伝教大師最澄が唐から持ち帰った貴重な染織遺品です。天台宗第六祖・湛然所用と伝わる麻製の袈裟は、正倉院や法隆寺にもない稀有な存在。その歴史的価値と見どころ、拝観方法をご紹介します。
比叡山延暦寺が所有する国宝の染織遺品。最澄が唐より将来した隋時代の絹の刺納衣で、布の断片を継いだ刺し子の僧衣。天台大師・智顗の所用と伝わる。麻の七条刺納袈裟と一括で指定され、現在は京都国立博物館に寄託される。
滋賀県大津市の石山寺に伝わる国宝「越中国官倉納穀交替記残巻」は、奈良時代の越中国(現在の富山県)における官倉の穀物管理と引き継ぎを記録した貴重な古文書です。紙背には密教文献が書写され、古代行政と仏教文化の交差点を今に伝えます。
延暦交替式は、国司の交替手続きを定めた平安初期の法令の写本で、石山寺所蔵の国宝。延暦22年に菅野真道らが撰進した全41条の本文を含み、紙背には淳祐内供筆とされる梵字の悉曇章が記される。律令官制と密教の学問、二つの世界が一巻に重なる。
延暦寺が所有する国宝の古文書。天台宗の開祖最澄が唐から持ち帰った法具などを書き上げた自筆の目録で、巻頭を火災で失い「羯磨金剛」の語から始まる。各品の末には弘仁二年の日付と署名が記される。東京国立博物館に寄託。
滋賀・石山寺に伝わる国宝。中国の正史『漢書』を奈良時代の日本で書写した二巻で、唐の顔師古の注を伴う。紙背には平安時代の僧元杲が密教の覚書『金剛界念誦私記』を記し、別々に写された二巻を一具へと結びつけている。
6世紀の梁で顧野王が編んだ漢字字典『玉篇』は中国で散逸し、本来の姿は唐代の写本によって日本にのみ残った。石山寺の本巻は全30巻のうち巻第廿七の後半にあたり、糸部などを収める。前半は京都の高山寺が所蔵する国宝である。
滋賀県長浜市の神照寺に伝来する国宝。銅の円板を皿形に打ち、宝相華唐草文を透かし彫りにして鍍金と鍍銀を施した、法会で散華を盛る器である。径約二十八・五センチの十六枚が現存し、うち二枚は京都国立博物館に収まる。
滋賀・大津の三井寺が伝える国宝の仏画。全身を黄色に塗った不動明王を、背景を描かず虚空に立つ姿で表す。円珍が感得したという伝承に結びつき、単独の不動明王画として現存最古の作とされる。日本三不動の一で、原本は秘仏。
弘仁14年(823年)、嵯峨天皇が僧光定の受戒を証して自ら筆を執った戒牒。最澄が悲願とした比叡山の大乗戒壇設立にちなむ文書で、確実な真筆として唯一伝わる国宝。楷書・行書・草書を交える破体の書が見どころで、延暦寺国宝殿に収蔵される。
滋賀県大津市の石山寺が所蔵する国宝。奈良時代に書写された史記巻九十六・九十七の残巻で、現存最古級の写本とされる。紙背には平安期の僧淳祐にゆかりの金剛界次第が記され、表裏で時代も内容も異にする稀有な一巻である。
滋賀県大津市の石山寺が所蔵する国宝・釈摩訶衍論は、唐時代に書写された五帖の折本である。竜樹の撰述を称するが実際は七〜八世紀に唐または新羅で成立した『大乗起信論』の注釈書で、現存する唐写本として希少な一品。
滋賀県の石山寺が所蔵する国宝。中国の杜預が編んだ『春秋経伝集解』の巻第廿九を平安時代に日本で書写した残巻で、紙背には金剛界の密教儀軌が記される。漢籍の写本と密教の修法が一巻に同居する希少な典籍である。
石山寺に伝わる国宝「春秋経伝集解巻第廿六残巻」は、中国の古典を平安時代の日本で書写した一巻。杜預が編んだ注釈書の写本で、紙背には仏教の戒律「四分戒本」を記す。古い本文と訓点を残し、当時の経書の読み方を今に示す資料である。
石山寺第三代座主・淳祐内供が平安時代に書写した自筆聖教。高野山で弘法大師の御衣にふれた手に香りが移り、書写した聖教にもうつったとの伝承から薫聖教と呼ばれる。国宝83巻1帖で、2025年には10巻が追加指定された。
周防国玖珂郡玖珂郷で延喜八年(908年)に作成された戸籍の断簡。律令制下の造籍制度が衰退する時期の貴重な記録で、紙の裏に密教の儀軌が書き写されたことで現代まで残った。昭和28年に国宝に指定され、滋賀県の石山寺が所蔵する。
琵琶湖北岸の菅浦に伝わる中世村落の記録。鎌倉から江戸期の文書千二百八十一通を六十五冊にまとめ、隣村大浦庄との田地相論や村掟を記す。村人が守った史料として二〇一八年に国宝指定。須賀神社や四足門とともに巡りたい。
滋賀県甲賀市の太平寺に伝わる大般若経142帖は、和銅5年(712年)に長屋王が従兄・文武天皇の冥福を祈って書写させた「和銅経」で、書写年代の明らかな大般若経としては日本最古とされる。鈴鹿山麓の里・鮎河の桜の名所としても知られる。
滋賀県甲賀市土山町の常明寺に伝わる国宝・大般若経27帖。和銅5年(712年)に長屋王が文武天皇追善のため発願した日本最古の大般若経写本で、界線を引かない無界の写経として知られる。旧東海道土山宿の散策とあわせて訪ねたい。