用語集

Glossary

このサイトで使う建築・宗教・文化財の専門用語をまとめています。

あ

  • 網代天井 あじろてんじょう

    薄い板や竹などを網代に編んで張った天井。茶室で用いられ、同じ室内で他の天井と使い分けられる。

  • 雨端 あまはじ

    沖縄の伝統的な民家で、軒を深く出してその先を柱で支え、建物のまわりにつくる軒下の空間。強い日差しと雨をさえぎり、屋内と庭をつなぐ場となる。

  • 石落し いしおとし

    櫓や天守の外壁を石垣の外へ張り出し、床に開口を設けて真下を狙う装置。庇付や袴腰形など形に違いがある。

  • 石垣 いしがき

    石を積み上げて築く擁壁。城郭のほか屋敷の敷地造成にも用いられ、加工度・目地・隅の三つの軸で記述される。

  • いしぐろ いしぐろ

    高知県東部の奈半利町や室戸市吉良川町などに見られる石積みの塀。浜石や川原石を積み上げ、頂部に瓦葺の小屋根を載せるものがあり、強い風雨から屋敷を守る。

  • 犬矢来 いぬやらい

    町家の外壁や塀の足元に、道路側へ湾曲させて立て掛ける竹や木の柵。雨の跳ね返りや泥、人や動物による傷みから壁の裾を守り、通りの景観をつくる。

  • 豕扠首 いのこさす

    妻飾の一形式。梁や虹梁の上に二本の斜材を山形に組み、頂部で棟木を受け、中央に束を立てる。古式で簡素な構成で、社殿の妻に多い。

  • 入側 いりがわ

    座敷や建物の外周で、外側の縁側と内側の座敷とのあいだに設けた通路状の部分。畳敷とするものが多く、城や書院、大きな住宅の座敷に見られる。

  • 囲炉裏 いろり

    床を四角く切って火を焚く炉。暖房と炊事を兼ね、民家の土間や板の間に設けられる。記録では地炉とも書かれる。

  • 牛梁 うしばり

    小屋組の中ほどを桁行方向に通して架ける太い梁。梁間の大きな建物で、小屋梁や登梁の中間を受け、屋根の荷重を支える。

  • 卯建 うだつ

    町家の妻側や屋根上に立ち上げる小壁。隣家との境で延焼を防ぎ、通りから見える位置にあって家格も示す。

  • 内縁 うちえん

    座敷などの外側に設けた縁のうち、雨戸やガラス戸の内側に取り込まれ、室内の一部となった縁。入側縁とも呼ばれ、畳敷の部屋と外の庭とのあいだに置かれる。

  • 腕木 うでき

    柱から外へ水平に突き出して、軒桁や庇を受ける短い横材。腕木門の名の由来となる部材で、住宅の軒の持ち出しにも広く使われる。

  • 腕木門 うできもん

    二本の本柱の上部から前後に腕木を突き出して軒桁を受け、切妻屋根を架けた門。構造が簡素で、住宅の表門や庭門、寺院の小門に広く用いられる。

  • 兎毛通し うのけどおし

    唐破風の拝みに吊る懸魚。曲線の破風に合わせた形をとり、鳳凰などの彫刻を施して正面を飾る。

  • 海老虹梁 えびこうりょう

    強く湾曲した虹梁。高さの違う二点をつなぐために用い、向拝と身舎、外陣と内陣の境などに架ける。

  • 縁側 えんがわ

    座敷の外側に設ける板敷きの細長い空間。屋内と庭をつなぎ、屋根の外に出るものは濡縁と呼ばれる。

  • 笈形 おいがた

    大瓶束の両側に添える飾り板。左右へ広がる輪郭をとり、彫刻を施して妻飾を華やかにする。

  • 扇垂木 おうぎだるき

    軒の垂木を、扇の骨のように放射状に広げて配る方法。禅宗様の建物の特徴で、隅の部分だけを放射状とするものは隅扇垂木と呼ぶ。

  • 筬欄間 おさらんま

    細い縦桟を機織りの筬のように密に並べた欄間。書院座敷のほか門の扉の上にも用いられる。

  • 押板 おしいた

    座敷の壁際に設けた、奥行の浅い厚板の台。掛軸を掛け、前に花や香炉などを置いて飾る場で、床の間の古い形とされる。

  • 尾垂木 おだるき

    組物の中を斜めに貫いて外へ突き出し、先端で軒の荷重を受ける太い材。内側の尻を屋根の重みで押さえ、てこのように軒を支える。三手先や禅宗様の組物に用いられる。

  • 落棟 おちむね

    主屋の脇に接続し、主屋より一段低い位置に棟をもつ屋根、またはその屋根の下の部分。台所や納屋、風呂場など付属的な用途にあてることが多い。

  • 鬼瓦 おにがわら

    棟の端に据える装飾瓦。銘が入ることがあり、屋根に手を加えた年代を知る手がかりになる。

か

  • 鏡天井 かがみてんじょう

    竿縁や格子を用いず、平らな板を張って一枚の鏡のような平面とした天井。禅宗様の仏殿などで、龍などの絵を描くことが多い。

  • 鏡柱 かがみばしら

    門の戸口の両側に立てる主柱。太い角材で扉を吊り、長屋門や薬医門の構えの中心をなす。記録では本柱とも書かれる。

  • 笠石 かさいし

    壁や坑門の頂部に水平に載せる石。雨水を落として下の躯体を守るとともに、立面の輪郭を締める。

  • 笠木 かさぎ

    塀や手すり、鳥居などの最上部に載せる横材。上端を覆って雨を防ぎ、全体の輪郭を整える。鳥居では最上部の横木を指す。

  • 片廊下 かたろうか

    廊下の片側にだけ部屋を並べ、もう片側を外壁や窓とする平面の形式。学校の教室棟や寮、病院などの近代建築に多く、採光と通風に優れる。

  • 花頭窓 かとうまど

    上部を火炎形の曲線で象った窓。禅宗様の細部として寺院建築に用いられ、漆喰壁に穿たれることが多い。

  • 冠木 かぶき

    門の二本の本柱の上部に水平に渡して柱どうしをつなぐ横木。冠木門は、この冠木を主な構成とした門の形式である。

  • 冠木門 かぶきもん

    二本の門柱の上部に冠木と呼ぶ横木を渡した、屋根のない門。構造が簡素で、屋敷の表門や通用門、庭の入口などに用いられる。

  • 亀腹 かめばら

    建物の足元に土を饅頭形に盛り、漆喰などで白く塗り固めた部分。基壇と床下をつなぐ。多宝塔の上下層の間にある白い饅頭形の部分も亀腹と呼ぶ。

  • 観音開 かんのんびらき

    左右二枚の扉を、中央から両側へ開く開き方。厨子の扉が仏像を拝むために左右に開くことにちなむ名とされ、土蔵の戸口や窓の扉に多い。

  • ガラリ がらり

    細長い羽板を斜めに少しずつ間隔をあけて並べた、換気や通風のための開口部や戸。雨や視線をさえぎりながら空気を通す。蔵の妻の換気口や戸、洋風建築の頂部などに用いられる。

  • 龕部 がんぶ

    石造の祠や塔で、仏像を納めるために彫り込んだ部分。基礎と屋根の間にあり、内部に像を彫り出すこともある。

  • 木連格子 きつれごうし

    入母屋造などの妻の三角形の面に、縦横の格子を組み、裏に板を張って仕上げた妻飾。狐格子とも呼ばれ、社寺や住宅の入母屋造の妻に広く用いられる。

  • 木鼻 きばな

    頭貫や虹梁などの横材が柱から外へ突き出した端部に施した彫刻的な装飾。大仏様・禅宗様とともに広まり、近世には獅子や象などの彫刻が付くものも多い。

  • 切目縁 きりめえん

    縁板を縁の長手と直交する向きに張った縁。社殿の周囲を巡る縁に多く、高欄と組で記録される。

  • 擬宝珠 ぎぼし

    高欄や橋の親柱の頭に載せる玉ねぎ形の飾り。これを備えた高欄を擬宝珠高欄と呼び、格式を示す。

  • 釘隠し くぎかくし

    長押などを留めた釘の頭を覆う飾り金物。家紋や花文を打ち出し、座敷の格式を示す位置に並ぶ。

  • 潜戸 くぐりど

    門の大扉の脇や扉のなかに設ける小さな通用口。大扉を開けずに人だけが出入りするためのもの。

  • 蔵前 くらまえ

    土蔵の戸口の前に設けた、屋根のかかった空間。蔵の屋根を葺き下ろしたり別の屋根を架けたりしてつくり、荷の出し入れや作業、雨除けに用いる。

  • 庫裏 くり

    寺院で炊事と僧の生活に充てる建物。土間と居室からなり、本堂と渡廊下で結ばれる。本堂と兼ねる堂庫裏形式もある。

  • 榑縁 くれえん

    縁板を縁の長手方向に沿って張った縁。住宅の座敷まわりに多く、建物どうしをつなぐ通路にもなる。

  • 桁行 けたゆき

    建物の棟と平行する方向、またはその方向の長さ。記録では「桁行三間」のように柱間の数やメートルで示し、棟と直交する梁間と対にして建物の規模を表す。

  • 間 けん

    柱と柱の間、およびその数を数える単位。長さの単位としても使われ、記録では桁行三間、間口五間半のように現れる。

  • 間斗束 けんとづか

    柱と柱のあいだの中備に立てる短い束で、頂部に斗を載せて上の横材を受ける。和様の建物に多い簡素な中備で、蟇股と並ぶ代表的な形式。

  • 外陣 げじん

    仏堂で参拝者が立ち入る手前の空間。本尊を安置する内陣と対をなし、両者の境に組物や欄間が入る。

  • 下屋 げや

    主屋の外周に差し掛ける一段低い屋根とその下の空間。縁や庇、付属室を収め、記録では東面下屋附属のように面を示して書かれる。

  • 格狭間 こうざま

    須弥壇や台座、基壇、扉などの側面に入れる装飾的な刳り形。上部が花頭形の曲線を描き、下部が左右に開く輪郭をもつ。

  • 麹室 こうじむろ

    蒸した米に麹菌を繁殖させて麹をつくるための部屋。温度と湿度を保つため、壁や天井を厚く断熱した閉じた室につくり、酒蔵や味噌蔵に設けられる。

  • 向拝 こうはい

    社殿や仏堂の正面で、屋根を前方へ延ばして参拝する位置を覆う部分。柱間の数を冠して向拝一間などと記録される。

  • 坑門 こうもん

    隧道の出入口に築く構えの部分。壁柱や笠石、帯石で構成され、意匠が最も凝らされる位置になる。

  • 高欄 こうらん

    縁や橋の外側に設ける手すり。柱頭に擬宝珠を載せたものを擬宝珠高欄、組物風に構えたものを組高欄と呼ぶ。

  • 虹梁 こうりょう

    上へゆるやかに反った梁。社寺建築の内部や妻飾に用いられ、彫刻を施す位置にもなる。

  • 腰板 こしいた

    壁の下部(腰)に張る板。傷みやすい壁の足元を雨や衝撃から守る。蔵や町家の外壁、学校の廊下や教室の内壁などに広く用いられる。

  • 腰掛待合 こしかけまちあい

    露地に設ける待合の小屋。客が席入りの前に腰を掛けて待つための、間口2メートル前後の小規模な建物。

  • 駒寄せ こまよせ

    町家の正面で、出格子や壁の前に柱や格子を立てて囲う低い柵。表構えを引き締めるとともに、通りからの接触を防ぐ。駒寄とも書く。

  • 格天井 ごうてんじょう

    格縁を格子状に組み、その上に格板を張った天井。仏堂の内陣や書院の座敷など、格式の高い空間に用いられる。

  • 鰹木 かつおぎ

    神社本殿の棟の上に、棟と直交させて等間隔に並べる短い丸材。千木と一組で記録され、本数が記されることもある。

  • 蟇股 かえるまた

    梁や桁の上に置いて上部の荷重を受ける、下辺が広がった形の部材。彫刻を施す位置として社寺建築でよく用いられる。

  • 組物 くみもの

    柱の上で軒の荷重を受け、外へ持ち出す部材の組み合わせ。持ち出す段数によって出組、二手先、三手先と呼び分ける。

  • 懸魚 げぎょ

    破風の拝みや桁の先端を隠すために吊り下げる彫刻板。梅鉢や鰭付など形に名があり、意匠の見どころになる。

  • 化粧屋根裏 けしょうやねうら

    天井を張らず、屋根の下面を仕上げてそのまま見せる構成。垂木や野地板が意匠として扱われる。

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  • 竿縁天井 さおぶちてんじょう

    細い竿縁を平行に渡し、その上に板を張った天井。格天井より簡素で、住宅の座敷に最も広く用いられる。

  • 差鴨居 さしがもい

    柱と柱のあいだに差し込んで架け渡す、せいの高い鴨居。建具を受ける鴨居の役目に加え、梁のように上の荷重を受けて軸部を固める。民家の部屋境に多い。

  • 挿肘木 さしひじき

    柱の頂部に載せるのではなく、柱の側面に差し込んで突き出させた肘木。大仏様の特徴で、禅宗様の建物や近代の門・塀にも用いられる。

  • 狭間 さま

    櫓や塀の壁に開けて矢や鉄砲を放つ小さな穴。用途によって矢狭間と鉄砲狭間があり、漆喰で覆った隠狭間もある。

  • 桟唐戸 さんからど

    框と桟で枠を組み、そのあいだに薄い板や格子、透彫の板をはめた開き戸。寺社の仏堂や門の扉に用いられ、禅宗様の建物で広まったとされる。

  • 参道 さんどう

    神社や寺院の境内へ参拝のために通じる道。入口の鳥居や門から社殿・本堂までを結び、石畳や並木、灯籠などが沿うことが多い。

  • 座敷 ざしき

    畳を敷いた床上の部屋。客を通す部屋を指すことが多く、床の間や次の間を備え、主屋の上手に置かれる。

  • 座敷飾 ざしきかざり

    書院造の座敷に設ける、床の間・違棚・付書院・帳台構などの装置の総称。書画や美術品を飾る場として生まれ、のちに座敷の格式を示す定型の構えとなった。

  • 式台 しきだい

    玄関の土間と座敷の間に設ける一段低い板敷き。客を迎える構えで、名主や上層の家に設けられ、家格を示す。

  • 下地窓 したじまど

    土壁を塗り残して下地の小舞を見せる窓。茶室や露地の小建築に用いられ、形は一定しない。

  • 支輪 しりん

    組物と天井の間を曲面でつなぐ部材。段差を埋めて納まりを整え、板で塞いだものを板支輪と呼ぶ。

  • 心柱 しんばしら

    三重塔や五重塔などの仏塔の中心を貫いて立つ太い柱。頂部の相輪を支える。初重の天井上で止めて下まで下ろさない形式が中世以降の典型とされる。

  • 上段の間 じょうだんのま

    座敷の奥の一部、または一室全体の床を周囲より一段高くつくった部屋。身分の高い人が座る場として設けられ、床の間や違棚などの座敷飾を備えることが多い。

  • 透塀 すきべい

    腰を板や漆喰で閉じ、上部を連子や格子で透かした塀。神社の本殿や拝殿の周囲、境内の区画に用いられ、内側を見通せる。

  • 隅飾 すみかざり

    宝篋印塔の笠の四隅に立てる、耳のような形の突起。宝篋印塔を見分ける最大の特徴で、傾きや形、内部の文様が時代によって変わる。

  • 厨子 ずし

    仏像や経典、舎利などを納めて安置する、扉付きの箱形の仏具。小さな堂の形につくったものも多く、仏堂の内陣や須弥壇の上に置かれる。

  • 相輪 そうりん

    仏塔の屋根の頂に立つ金属製などの柱状の飾り。露盤・伏鉢・請花・九輪・水煙・宝珠などを重ねた構成で、塔が仏舎利をまつる建物であることを示す。

  • 袖塀 そでべい

    門の左右に短く延ばす塀。門と敷地の境をつなぎ、門が独立して建つのを避けて構えを整える。

  • 心御柱 しんのみはしら

    大社造の本殿で、平面の中央に立つ特別に太い柱。三列三行に並ぶ九本の柱の中心にあたり、古くから神聖視されてきた。塔の中心を貫く心柱とは別の語である。

  • 蔀戸 しとみど

    格子の裏に板を張り、上端で吊って外へ跳ね上げる建具。社殿や仏堂の正面に用いて、開ければ庇となり内外を一続きにする。

  • 須弥壇 しゅみだん

    仏堂の内陣に設けて本尊を安置する壇。仏教の世界観にいう須弥山に由来する名で、堂内の中心を占める。

た

  • 待避所 たいひじょ

    隧道の側壁に一定間隔で設ける小さな窪み。列車が通過する間、内部の作業者が身を寄せるための空間。

  • 大瓶束 たいへいづか

    妻飾で虹梁の上に立てる束。下部が瓶のように膨らみ、両側に笈形を添えて彫刻を施すことが多い。

  • 襷 たすき

    二本の材や線を斜めに交差させた形。建築では、塀や欄間、建具などに斜めに交差させた桟(襷桟)を入れて意匠とする。

  • 畳廊下 たたみろうか

    畳を敷いた廊下。格式の高い座敷のまわりに回し、座敷と縁側のあいだをつなぐ。板敷の廊下より上質な仕様とされ、近代の大邸宅や料亭、旅館に多い。

  • 立坑 たてこう

    地表から垂直に掘り下げる坑。水平に掘る横坑と組み合わせ、暗渠や隧道の一部を構成する。

  • 手挟 たばさみ

    向拝柱と虹梁の隅を埋める三角形の飾り板。彫刻を施す位置で、社殿正面の見せどころのひとつになる。

  • 玉垣 たまがき

    神社の本殿などのまわりを囲み、神域を区画する垣の総称。木造のほか石造のものも多く、板・格子・連子など材料と組み方でさまざまな形式がある。

  • 垂木 たるき

    棟から軒へ斜めに渡して屋根の下地を受ける材。記録では段数と間隔を組み合わせて一軒疎垂木、二軒繁垂木などと書かれる。

  • 違棚 ちがいだな

    床の間の脇(床脇)に、左右二枚の棚板を段違いに組んで設けた飾り棚。書院造の座敷飾の一つで、上に天袋、下に地袋を組み合わせることが多い。

  • 千鳥破風 ちどりはふ

    屋根面の途中に据える三角形の破風。軒とはつながらず屋根の上に載る形で、天守や大屋根の正面を飾る。

  • 沈砂池 ちんさち

    水路に取り入れた水の流れを緩め、含まれる土砂を沈めて取り除くための池。発電用水路や上水道、農業用水の取水口の下流に設け、排砂門で土砂を排出する。

  • 築地塀 ついじべい

    土を突き固めたり塗り重ねたりしてつくった土塀に、瓦などの屋根を載せたもの。寺院や御所、武家屋敷の周囲を囲む。木の骨組みに土や漆喰を塗る例もある。

  • 突上げ窓 つきあげまど

    上端で吊り、下から突き上げて開ける窓。城郭の櫓では太鼓壁の面に二連で並べ、狭間と併せて設けられる。

  • 付書院 つけしょいん

    床の間の脇で縁側側へ張り出す造り付けの机と明かり障子。書院造の座敷飾の一つで、床の間・棚と組で構成される。

  • つし二階 つしにかい

    天井の低い中二階。人が立って歩ける高さを取らず、物置や寝所に充てる。近世の町家に広く見られる。

  • 土戸 つちど

    木の骨組に土を塗り重ね、漆喰で仕上げた厚い扉。土蔵の戸口や城郭の門に用いて延焼を防ぐ。

  • 土庇 つちびさし

    土間の上に差し掛ける庇。蔵の前や作業場を覆い、雨を避けながら屋外の作業空間をつくる。

  • 角屋 つのや

    民家の主屋の本体から直角方向に張り出した部分。本体とは棟の向きを変えた屋根をかけ、座敷や台所、作業場などにあてる。

  • 詰組 つめぐみ

    組物を柱の上だけでなく、柱と柱のあいだにも同じ形で並べて配置する方式。禅宗様の特徴で、軒下に組物が密に並ぶ外観をつくる。

  • 照り起り てりむくり

    屋根や破風の曲線で、反りと膨らみを組み合わせたもの。反りを照り、膨らみを起りといい、起りだけの屋根や破風も記録に現れる。

  • 天袋 てんぶくろ

    床脇や押入の上部、天井に接して設けた小さな戸棚。書院造の床脇では、違棚の上に天袋、下に地袋を組み合わせるのが定型とされる。

  • 出組 でぐみ

    大斗から肘木と斗を壁より一段前へ持ち出し、その先で軒桁を受ける組物。一手先とも呼び、三斗組より格が高く、二手先・三手先より簡素な中位の組物。

  • 出格子 でごうし

    窓や建物の正面に、外壁面より外へ張り出して取り付けた木の格子。町家の表や長屋門の居室などに設け、外からの視線を遮りながら光と風を取り入れる。

  • 出三斗 でみつど

    三斗組の一種で、大斗の上に壁に沿う肘木と前へ突き出す肘木を十字に組み、それぞれの先に斗を載せたもの。壁に沿う方向だけに斗を並べる平三斗より一段手の込んだ組物。

  • 通り庭 とおりにわ

    町家の表から裏まで貫く土間の通路。片側または両側に居室が並び、通り土間とも記される。

  • 床の間 とこのま

    座敷の一角に設ける一段高い床。掛物や花を飾り、部屋の格を示す。記録では片仮名でトコと書かれることが多い。

  • 床柱 とこばしら

    床の間の脇に立てる化粧柱。座敷で最も目に付く柱として銘木を用い、丸太や面皮柱を選んで格や趣を示す。

  • 床脇 とこわき

    床の間の脇に設ける棚まわりの部分。違い棚や地袋を入れ、床の間・付書院と並んで座敷飾を構成する。

  • 戸袋 とぶくろ

    雨戸を引き込んで納める箱状の部分。開口の端に設け、昼間は戸を収めて正面を開け放つ。

  • 戸前 とまえ

    土蔵の出入口とその前面を指す語。厚い扉を吊り、上に庇を設けて雨雪から守る。

  • 土塀 どべい

    土を主な材料として築き、頂部に瓦などの小さな屋根を載せた塀。表面を漆喰で塗り固めることが多く、築地塀や練塀も土塀のうち構法で呼び分けた形式にあたる。

  • 土間 どま

    床を張らず地面のままとした屋内の空間。炊事や作業に使われ、民家では座敷と対になる。町家を貫くものは通り庭と呼ぶ。

  • 千木 ちぎ

    神社本殿の棟の両端で交差させる木。棟に並べる鰹木と一組で記録され、社殿と仏堂を見分ける手がかりになる。

な

  • 内陣 ないじん

    仏堂で本尊を安置する奥の空間。参拝者が立つ外陣と対をなし、境には組物や欄間が入る。

  • 中廊下 なかろうか

    建物の中央を通して両側に部屋を配する廊下。近代の住宅平面に取り入れられ、接客と生活の動線を分けた。

  • 長押 なげし

    柱の外側に水平に打ち付ける化粧材。柱を固める役割を持ち、座敷では格式を示す部材として扱われる。

  • 納戸 なんど

    衣類や道具を納める部屋。座敷の裏手に置かれ、寝室を兼ねることもある。大規模な屋敷では独立した棟になる。

  • にじり口 にじりぐち

    草庵風の茶室で、客が身をかがめ、膝でにじるようにして出入りする小さな出入口。躙口とも書く。

  • 貫 ぬき

    柱に穴をあけて差し通し、柱どうしを水平につなぐ横材。楔で締めて軸部を固め、位置によって頭貫・内法貫・腰貫・地貫などと呼び分ける。

  • 練塀 ねりべい

    瓦と粘土を交互に積み重ねて築き、上に瓦屋根を載せた塀。表面を漆喰で塗り込めるものと、瓦の層を横縞として見せるものがある。寺院や屋敷の周囲に用いる。

  • 軒唐破風 のきからはふ

    軒先の一部を弓なりに持ち上げてつくる曲線の破風。向拝や玄関の上に設け、正面の格式を示す。

  • 軒蛇腹 のきじゃばら

    外壁の頂部、軒の下に沿って段状や帯状に張り出させた装飾的な突出部。土蔵では漆喰で塗り出し、洋風建築ではコーニスにあたる部分をいう。

  • 延石 のべいし

    細長く加工した切石を、一列に並べて据えたもの。建物や塀の基礎、石垣の上端の縁取り、敷地の縁石などに用いられる。

  • 登梁 のぼりばり

    小屋組で、軒桁の上から棟の方へ屋根の勾配なりに斜めに架け上げた梁。屋根裏に水平の梁や束を減らせるため、土蔵や町家の二階を天井高く使える。

は

  • 袴腰 はかまごし

    鐘楼などの下部を囲う、裾に向かって広がる壁。袴をはいたような形からの名で、これを付けた鐘楼は外から二階建てのように見える。

  • 箱階段 はこかいだん

    踏板の下を箪笥や物入れとした階段。狭い町家で床面積を無駄にせず、階段と収納を兼ねる。

  • 鉢巻 はちまき

    土蔵の軒下で、壁の上部を帯状に厚く塗り出して回した部分。軒と壁の取り合いを固めて火や雨から守るとともに、白と黒の漆喰で外観を引き締める。

  • 八双金物 はっそうかなもの

    門や蔵の扉の板を横に押さえて留める帯状の飾り金具。端部を矢羽根や花形などに切り抜いて装飾とすることが多い。

  • 桔木 はねぎ

    小屋裏に隠して仕込み、てこの原理で軒先を持ち上げる材。組物に頼らずに深い軒を支えられる。

  • 破風 はふ

    切妻造や入母屋造の屋根の妻側で、棟木や桁の端を覆うように山形に取り付ける板。またその板で縁取られた妻の部分全体を指し、千鳥破風・唐破風などの形式がある。

  • 浜縁 はまえん

    社殿の向拝の前に張り出す低い縁。木階の下に設け、身舎を巡る縁より一段低い位置に付く。

  • 浜床 はまゆか

    神社本殿の正面、階段の下や向拝の下に張る低い板床。浜縁とともに設けられ、神前で祭祀を行う場となる。

  • 梁間 はりま

    建物の棟と直交する方向、またはその方向の長さ。梁が架け渡される方向にあたり、記録では「梁間二間」のように示して、棟と平行する桁行と対にして規模を表す。

  • 撥束 ばちづか

    下端が三味線の撥のように広がった形の束。梁や虹梁の上に立てて棟木や上の材を受け、妻飾や柱間の中備に用いられる。

  • パラペット ぱらぺっと

    屋上や屋根の縁に沿って外壁を立ち上げた低い壁。陸屋根の縁を囲むほか、正面に高く立てて勾配屋根を隠し、洋風の外観をつくるのにも用いられた。

  • 火打梁 ひうちばり

    建物の隅部などで、直交する二本の横架材を斜めにつないで三角形をつくる短い材。水平面のゆがみを防ぐ。小屋組や二階床の隅に用いる。

  • 控柱 ひかえばしら

    門や塀、鳥居などで、本柱の前後や斜め後方に立てて本柱を支える補助の柱。門の形式によって、屋根を受けるものと、倒れを防ぐだけのものがある。

  • 庇 ひさし

    建物の外壁や出入口、窓の上に張り出した小さな屋根。雨や日差しを防ぐ。社寺建築では、中心の身舎のまわりに付く一段低い屋根とその下の空間も庇と呼ぶ。

  • ヒンプン ひんぷん

    沖縄の屋敷で、門と主屋の間に独立して立てる目隠しの塀。道から家の中が直接見えないようにし、屋敷の内と外を仕切る。石造のものが多い。

  • 風鐸 ふうたく

    仏塔や仏堂の軒の四隅、相輪などに吊るす青銅製などの鐘形の鈴。風に揺れて鳴り、古代寺院の遺跡からも出土する。

  • 吹抜 ふきぬけ

    上下の階のあいだに床を張らず、下の階から上部まで一続きに通した空間。住宅の土間や広間、蔵の内部、洋風建築の玄関ホールなどに見られる。

  • 副堰堤 ふくえんてい

    砂防堰堤などの本堰堤の下流に設ける低い堰堤。本堰堤から落ちる水で河床が掘られるのを防ぎ、両者のあいだに水叩きや護岸を設けて一体の施設とする。

  • 舟底天井 ふなぞこてんじょう

    中央を高くし、両側へ向かって傾斜させた天井。断面が舟の底を逆さにしたような形になる。仏堂の内陣のほか、茶室や数寄屋風の座敷に用いられる。

  • 舟肘木 ふなひじき

    柱の頂部に直接載せて桁を受ける、舟底形の横木。斗を用いない最も簡素な組物で、住宅や社殿、神楽殿などの簡素な建物に用いられる。

  • プレートガーダー ぷれーとがーだー

    鋼板を組み合わせてI形の断面につくった桁。鉄道や道路の橋に広く用いられ、日本語では鈑桁とも呼ぶ。桁の上に線路を載せる上路式が多い。

  • 方丈 ほうじょう

    寺院で住持が居住し、来客を迎える建物。六間取の平面が定型となり、方丈型六間取として住宅にも影響を与えた。

  • 方杖 ほうづえ

    柱と梁、壁と軒桁などの隅に斜めに入れる短い部材。張り出した軒を下から支え、骨組みの隅を固めて傾きを防ぐ。頬杖とも書く。

  • 梵鐘 ぼんしょう

    寺院の鐘楼などに吊るし、撞木で撞いて鳴らす青銅製の大きな鐘。時刻や法会を知らせる。龍頭・乳・池の間・撞座など各部に名称があり、形や銘文が年代を知る手がかりになる。

ま

  • 舞良戸 まいらど

    板の表に細い横桟を等間隔に打ち付けた引戸。書院造の外周や通用門に用いられ、簡素で落着いた外観をつくる。

  • 楣 まぐさ

    窓や出入口などの開口部の上に水平に渡す横材。開口部の上の壁の荷重を受け、蔵や町家では虹梁の形に整えて意匠とすることもある。

  • 水切 みずきり

    外壁の途中に水平に突き出して廻らす帯状の部分。壁を伝い落ちる雨水をそこで外へ切り離し、下の壁を守る。瓦を並べたものは水切瓦と呼ぶ。

  • 水切瓦 みずきりがわら

    土蔵や民家の漆喰壁の途中に、小さな瓦を水平に一段から数段取り付けたもの。壁を伝う雨水を途中で外へ落とし、壁の傷みを防ぐ。高知県に多い。

  • 水叩き みずたたき

    堰堤の下流側で、落ちる水を受ける河床面を石張りやコンクリートで覆って保護する部分。洗掘を防ぎ、本堰堤と副堰堤のあいだに設けることが多い。

  • 水通し みずとおし

    砂防堰堤などの天端の一部を一段低く切り下げ、水を集めて流す部分。流れを堤体の中央に導き、両岸の侵食を防ぐ。記録では幅や両肩の勾配が記される。

  • 水屋 みずや

    茶室に付属して道具を整える準備の場。民家では炊事や水仕事に充てる部屋を指す場合もある。

  • 三斗組 みつどぐみ

    大斗の上に肘木を渡し、その上に三つの斗を並べた組物。持ち出しのない基本的な形式で、社殿や門に広く用いられる。

  • 虫籠窓 むしこまど

    町家や民家の二階正面で、土や漆喰で塗り込めた壁に縦長の格子状の開口を穿った窓。格子も塗り込めて造り、採光と通風に用いる。

  • 武者窓 むしゃまど

    太い縦格子を入れた窓。長屋門の外壁に設けて外を見張る構えをつくり、武家や上層の屋敷の表構えを示す。

  • 棟木 むなぎ

    屋根の頂部に棟の方向に通す横材。垂木の上端を受け、小屋組の最上部を固める。上棟の儀礼の対象となり、建築年を記した墨書や銘が残ることも多い。

  • 棟札 むなふだ

    上棟の際に棟に納める木札。建築年や関与した大工の名が記され、附として本体と併せて指定されることがある。

  • 面皮柱 めんかわばしら

    角を落としきらず、四隅に丸みと樹皮の名残を残した柱。茶室や数寄屋造で用い、角柱との中間の表情をつくる。

  • 裳階 もこし

    仏堂や塔の本体の周囲に、軒下を取り巻くように付けた庇状の差し掛け部分。外からは屋根が一重多く見え、重層の建物のような姿になる。

  • 持送り もちおくり

    壁面から突き出して庇や縁などを支える片持ちの部材。木・鉄・石・漆喰と材を問わず、装飾の場にもなる。

  • 物見格子 ものみごうし

    長屋門の供部屋などに設ける、内側から外の様子をうかがうための格子窓。外からは中が見えにくく、門の表構えを重厚に見せる。

  • 棟持柱 むなもちばしら

    妻の外側に独立して立ち、棟木を直接受ける柱。神明造の社殿に用いられ、屋根の荷重を壁面から離れた位置で支える。

  • 三手先 みてさき

    組物を三段にせり出して軒を支える形式。持ち出しの最も深い構成で、塔や楼門など格式の高い建物に用いる。

や

  • 与力窓 よりきまど

    外壁に太い格子を立て、その上に小さな庇を付けた窓。長屋門や蔵、武家屋敷などに用いられる。名は江戸の与力の屋敷に多く見られたことによるとされる。

ら

  • 来迎柱 らいごうばしら

    仏堂の内陣で、須弥壇の後方に立てる一対の柱。壁を設ける来迎壁と並ぶ、内陣後方の構成のひとつ。

  • 欄間 らんま

    鴨居や長押の上、天井との間に設ける開口。採光と通風を担い、彫刻や組子で意匠を凝らす位置になる。

  • 連子窓 れんじまど

    角材や竹を等間隔に並べて格子とした窓。社殿の脇間や町家の正面に用いられ、光と風を通しながら視線を遮る。

  • 露盤 ろばん

    宝形造の屋根や塔の頂部に据える方形の台。その上に宝珠や相輪を載せ、屋根の頂点を納める。

わ

  • 脇障子 わきしょうじ

    神社本殿などの縁の側面後端に立てる、板張りの仕切り。縁の行き止まりをつくり、背面へ回り込めないようにする。彫刻で飾るものも多い。